Press release

シュプリンガー・ネイチャーとエジプト政府、オープンリサーチを推進する歴史的契約に合意

2021年12月14日

エジプトにおける最初の転換契約により、エジプトの研究が世界的により認知され、影響力が拡張される

ロンドン|ベルリン|ハイデルベルク 2021年12月14日

シュプリンガー・ネイチャー、The Science, Technology and Innovation Funding Authority (STDF)、Egyptian Knowledge Bank(EKB)は本日、歴史的な転換契約の締結に合意しました。これにより、世界のあらゆる規模の経済圏において、オープンアクセス(OA)出版の機運が高まると同時に、オープンサイエンスとオープンリサーチへの移行が広く進展します。

この合意は、エジプトで最初の転換契約であると同時に、この地域を通しても初となる転換契約です1。これにより、エジプトの研究者は、年間3,000本以上のOA論文をシュプリンガー・ネイチャーから出版することが予想され、すべての分野においてエジプトの研究のリーチと影響力(インパクト)2を高めます。また、研究者たちは、2,400以上のジャーナルで論文にアクセスし、閲覧できるようになるだけでなく、ハイブリッドOAと完全OAジャーナルのポートフォリオで出版するオプションが提供されます。エジプトにおけるOAへの移行の加速により、世界の学者は、同国の高品質な論文に対し、出版後ただちに再利用、共有および発見できるようになります。

本契約は、シュプリンガー・ネイチャーとEKBとの長年にわたるパートナーシップにおける最新の進展です。シュプリンガー・ネイチャーは、エジプトの35のジャーナルをEKBに代わって出版し、Nature Research Academiesを通じて研究者をサポートし、エジプトの研究者が研究を進展させる支援をしています。

シュプリンガー・ネイチャーの最高経営責任者(CEO)であるFrank Vrancken Peeters(フランク・ブランケン・ピーターズ)は、次のように述べています。

「Egyptian Knowledge Bankが、オープンサイエンスに向かうために、シュプリンガー・ネイチャーを提携先として選んでいただき、光栄に感じています。このような契約を通じて、すべての研究者がOA出版できるようになることは、科学研究の発展にとってきわめて重要であり、エジプトの研究者の出版オプションを増やすことにつながります。この契約は、国全体の持続可能な転換契約を進めるための両者の強力なパートナーシップと経験を裏づける証であるだけでなく、すべての経済圏においてオープンサイエンスを達成できるよう、その道筋を模索する私たちの公約を証明するものです。EKBと手を携え、この共通の目標に向かって前進できることを楽しみにしています」

この契約は、エジプト政府の広範な2030年戦略の中でもきわめて重要な部分を形成しており、教育開発、持続可能なOA、エジプトの研究者の科学コンテンツの充実を推進させるうえで有効です。

The Minister of Higher Education and Scientific ResearchのKhaled Abdel-Ghaffar教授は本契約について次のように述べています。

「この18カ月間は、医学および気候に関する知識において、新しい発見を行い、タイムリーに発展することの重要性を感じる日々であり、研究や知識への速やかなアクセスを提供し、サポートすることが必要だと、これまで以上に感じました。シュプリンガー・ネイチャーは、より大きなオープンサイエンスへの移行をサポートし、その移行を実現するためのソリューションをさらに進めるうえで、真のリーダーシップを発揮してくれています。私たちはともに、同じ責務を共有しているのです」

続いて、Minister of Education and Technical Education および Head of the Egyptian Knowledge Bank(EKB)のTarek Shawki教授は、次のようにコメントしています。

「より多くのエジプト人の研究者が、世界クラスの出版物にアクセスし、その恩恵を享受できるようになり、さらには、彼らの高品質の論文をオープンアクセスで継続的に出版し、世界に広められるようになることが重要です。このことは、私たちの地域において、エジプト人が、その経済環境にかかわらず、優れた教育と研究を行ううえで必要なツールを入手できるようにするために大きな一歩となります」

さらに、The Science, Technology & Innovation Funding Authority(STDF)のCEOであるWalaa Sheta教授は、次のように述べています。

「この契約は、エジプトの研究者の学術的な未来に対する、私たちの努力と投資を示すものです。シュプリンガー・ネイチャーとの協力関係がさらに拡大することで、より良い世界を実現するために、知識と学術の文化が前進、拡大することを望んでいます」

シュプリンガー・ネイチャーは、2014年、オランダとの間で最初の転換契約を締結し、現在では14の国と同様の契約を結んでいます。論文出版数が世界最大のProjekt DEALとの契約もこれに含まれます。なお、シュプリンガー・ネイチャーとこのような契約を結んでいる国々の場合、70%〜90%の著者がOA出版しているということがわかっています。そのため、エジプトをこの一環に加えるという点で、この契約は、完全OAへの世界的な移行において大きな節目になっています。

シュプリンガー・ネイチャーのChief Commercial OfficerであるCarolyn Honour(キャロリン・オナー)は、次のように述べています。

「転換契約は複雑で、どのパートナーシップ、地域において同じものはありませんが、それぞれのパートナーが必要としている完全OA環境への持続可能な道筋を提供するうえでこの契約が果たす役割は明らかです。また、各パートナーのニーズや要件についても考慮しなければならないため、エジプト政府の関与と投資がなければ、このような契約締結にいたることは不可能だったと考えています」

シュプリンガー・ネイチャーのOAとオープンリサーチへの取り組みについては、こちらのページをご覧ください。

1 政府レベルで合意。

2 平均してOA論文は、非OA論文より4倍多くダウンロードされ、2.5倍多くAltmetricで注目されています。Transformative Journals | Open research | Springer Nature / . v6 (springernature.com)

定義:転換契約では、参加機関が、ジャーナル購読型(閲覧)アクセスとOA出版の費用(論文掲載料、APC:Article Processing Charge)を組み合わせられるようになっています。転換契約では、OAの費用と運営管理を行うだけでなく、著者に対して、資金提供者のOA要件を順守するための簡単な方法も示しています。

解説:転換契約のもとでは、購読型アクセスとOA出版が、機関コンソーシアム全体で、1つの購読・出版契約にまとめられます。すなわち、当該コンソーシアムの参加機関の研究者は、「ゴールド」オープンアクセスモデルにもとづいて出版ができるだけでなく、購読型ジャーナルの論文にもアクセスできることになります。シュプリンガー・ネイチャーは、ほかの出版社に先駆けて、このような契約をオランダのVSNU(Vereniging van Universiteiten;オランダ大学協会)と2014年に初めて締結しました。この契約により、参加機関にとっても、所属研究者にとっても、OAの運営管理が容易になりました。さらに、これらの契約により、より広範な研究者たちが、研究の発見性の向上、引用回数の増加、OAコンテンツの利用増加といった恩恵を享受できるようになり、OA資金が不足しているという問題をかかえる一部の研究領域では、その解決にもつながります(APCの一元管理により、参加機関に属する研究者なら誰でも、学術分野に関係なくOA出版が可能になります)。転換契約ではまた、研究者に対して、資金提供者のOA要件を順守するための簡単な方法を示しています。

シュプリンガー・ネイチャーは、175年以上にわたり、研究コミュニティー全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、公開するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心を持つすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良サービスを提供します。

学術出版社として、シュプリンガー・ネイチャーは、シュプリンガー、ネイチャー・ポートフォリオ、BMC、Palgrave Macmillan、Scientific Americanなどの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

Egyptian Knowledge Bank(EKB)は、2014年のNational Science DayにエジプトのAbdel-Fattah El-Sissi大統領が立ち上げたイニシアチブです。大統領府の専門評議会は、EKBを通じて、教育の発展に関わるいくつかの国家プロジェクトを開始しました。

エジプト政府は、2030年戦略の一環として、教育と健康の2つの軸で人材を育成し、エジプトが基礎教育の質の高さで上位30カ国に入るとともに、非識字率をゼロにすることを目指しており、また、エジプトの大学10校を世界のトップ500大学のリストに加えることを目指しています。

EKBは、すべての年齢層のエジプト人に、基礎教育を受ける学生、大学生、大学院生に必要なすべての科学的コンテンツを含む、あらゆるカテゴリーの膨大な知識、文化、科学的コンテンツへのアクセスを提供します。https://int.ekb.eg/

2006年、エジプト科学研究省は、エジプトの科学技術(S&T)活動を全面的に見直すという野心的な活動に着手しました。2007年には、エジプトにおける科学技術のガバナンスと管理モデルを全面的に再構築するとともに、科学技術高等評議会(HCST)と科学技術・イノベーション資金機構(STDF)を設立しました。

科学技術革新基金局(STDF)は、優れた研究論文に資金を提供し、多くの先進国の科学者との科学的パートナーシップを確立することで、エジプトの科学社会を促進してきました。これは、急速に進歩する技術を把握し、さまざまな社会や新しい経済同盟に対してオープンにし、国際舞台で競争し、科学研究を技術開発に結びつけ、市民社会の機関と協力して統合科学研究システムにおける役割を活性化するためです。

このように、科学研究の推進力を高めるためには、真剣かつ野心的な計画やプログラムを継続して実行することが重要です。これは、国民経済と社会の発展にプラスに作用することが期待されます。

エジプトのSTIシステムは以下のように構成されています。

1.    Higher Council of Science and Technology(HCST;高等科学技術評議会)

2.    Ministry of Scientific Research(MOSR;科学研究省)

3.    Academy of Scientific Research and Technology(ASRT; 科学研究・技術アカデミー)

4.    Science and Technology Development Fund(STDF;科学技術開発基金)

5.    研究機関・大学

https://stdf.eg/

宮﨑 亜矢子
シュプリンガー・ネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
Tel: +81 (0)3 4533 8204
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース -  Springer Nature and the Egyptian Government agree landmark deal to drive forward open research

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