Press release

選択性の高いジャーナルにおける再現可能性と複製可能性を調査する初のイニシアティブを発足

2024年1月26日

Nature Human Behaviour とInstitute for Replicationが提携し、研究の再現と複製を目的とした、オープンサイエンスにおけるベストプラクティスを推進

ロンドン|ベルリン|ニューヨーク 2024年1月25日

シュプリンガーネイチャーが出版するジャーナルであるNature Human Behaviour(NHB)と、Institute for Replicationは、選択性の高い学際的なジャーナルに出版された研究の再現と複製1を目的とした大規模なイニシアティブを開始しました。今回のイニシアティブは、選択性の高い学際的ジャーナルを対象とする初の取り組みであり、社会科学における再現性(reproducibility)と複製可能性(replicability)を普遍的なものとし、同分野のタイトルにおける持続可能なオープンリサーチの実践を推進する方法について調査することを目的としています。

既存の研究や否定的な結果に対する認識が不足しているため、欧州では最大260億ユーロ米国では最大280億ドル2が不要な重複研究に費やされています。研究やコード、データ、方法などのすべての要素にアクセスし、研究を再現・複製できるようにすることは、効率を改善して科学を進歩させるだけでなく、科学に対する信頼を築くためにも重要です。

Nature Human Behaviour の編集長であるStavroula Kousta(スタヴロウラ・コースタ)の今回のイニシアティブについて、次のように述べています。

「2000年代初頭と比べて、再現性と複製可能性が重要であるという認識は大幅に高まっていますが、選択性の高い学際的ジャーナルに掲載される研究は、規模が大きく複製が難しい傾向にあるため、この種の、そしてこの規模の共同研究は前例がありません。今回のイニシアティブとその成果によって、研究の信頼性が強化され、再現性と複製に関する取り組みの価値と認知度が高まり、透明性と厳密性の改善につながることになると期待しています」

シュプリンガーネイチャーでは、世界の最も緊急性の高い課題への解決策を加速させるものとして、すべての人にとってよりオープンなエコシステムを実現するために取り組んでいます。具体的には、論文のプレプリントとしての早期共有の推進(InReview)、業界をリードするプロトコルプラットフォームprotocols.ioの買収、オープンアクセスやオープンデータ、オープンコードをめぐる業界基準に関する情報を提供する先進的なポリシー、ならびに同分野における研究者のニーズに対する理解を深める数多くのパートナーシップを通じ、オープンサイエンスの実践を最前線でサポートしてきました。今回のパートナーシップは、これらの先進的な取り組みを示す最新の事例となります。

今回の研究は、2023年以降にNHBに出版された研究が対象となります。同ジャーナルでは、プロジェクトに選択された論文の監視はしませんが、Institute for Replication、およびすべての論文著者と協力して、データやコードの共有プロセスを推進します。当イニシアティブの結果は、2025年に発表する予定です。

今回のイニシアティブの詳細については、概要および社説をご覧ください。また、シュプリンガーネイチャーのオープンサイエンスおよびオープンリサーチの実践については、オープンリサーチのページをご覧ください。

注釈

1  再現性とは、同じデータを使用して実験を繰り返し実施する能力を指します。複製可能性とは、同じ研究方法を使用し、異なるデータを用いて研究を再度実施する能力を指します。

 2 PLoS Biology に発表された研究によれば、米国における不正な生物医学研究によるコストは280億ドルであると試算されています。この額は、再現することができない基礎生物医学研究に対し、科学者が1年間に費やす額に相当します。

関連リンク

注目のハイライト - Nature Human Behaviour:研究の再現性と複製可能性を検証する大型イニシアチブが始動

Nature Human Behaviour について

2017年1月に創刊したNature Human Behaviour は、社会科学と自然科学の幅広い領域から、人間の行動に関する研究を専門的に出版するオンライン限定の月刊誌です。編集に関するすべての判断は、フルタイムで働く専門の編集チームによって行われています。

https://www.nature.com/nathumbehav/

Institute for Replicationについて

Institute for Replication(I4R)では、優れた学術ジャーナルにおける研究結果を系統的に再現および複製することにより、科学の信頼性を高める取り組みを行っています。当団体では、再再現性と複製可能性を推進し、生成することをおもな目標としています。再現と複製は、同じデータまたは異なるデータと手順・コードを用いて達成されます。I4Rは、ジャーナルではありませんが、編集委員会があり、複製者を積極的に募集・選定しています。現在、経済学・金融学と政治学の編集委員会があります。

シュプリンガーネイチャーについて

シュプリンガーネイチャーは、180年以上にわたり、研究コミュニティー全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、出版するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心をもつすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良なサービスを提供します。

学術出版社として、シュプリンガーネイチャーは、シュプリンガー(Springer)、ネイチャーポートフォリオ(Nature Portfolio)、BMC、パルグレイブ・マクミラン(Palgrave Macmillan)、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)などの信頼されたブランドを有しています。

詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子
シュプリンガーネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース:First of its kind initiative launched to explore reproducibility and replication across highly selective journal

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