Press release

シュプリンガーネイチャー:論文著者、編集者、および査読者をサポートする新たなAIツールを導入

2025年1月10日

コミュニティーと共同で開発したツールで、公正と倫理に関するチェックの合理化を支援

ロンドン|ベルリン|ニューヨーク 2025年1月7日

シュプリンガーネイチャーは、AI(Artificial Intelligence;人工知能)を搭載した新たなツールを導入しました。このツールでは、数多くの編集品質チェックを自動化するとともに、不適切である可能性がある原稿について編集者に警告を発し、査読への送付を差し止めることを可能にすることにより、編集者と査読者をサポートします。

社内で開発されたこの最新のAIツールは、フェイクコンテンツを特定するものとして2024年に統合された2種類のAIツールに続き、Snapp(シュプリンガーネイチャーの次世代型論文投稿・処理プラットフォーム)に統合される予定です。研究者と共同で開発した本ツールには、Snappへのシームレスな統合を可能にする設計が施されています。現在は、世界最大のオープンアクセスジャーナルであるScientific Reports を含む100誌以上のオープンアクセスジャーナルと、10万報以上の投稿論文を対象に試験を実施し、検証しています。

このAIツールは、論文原稿の品質に関する問題に迅速に対処し、必要な修正の数を抑え、質の高い出版プロセスの公正性を維持することにより、編集者と査読者をサポートします。いずれにおいても、人間の専門家が結果を二重にチェックしたうえで、最終的な判断をくだします。本ツールは、いずれもAI原則にもとづいて開発されたものであり、研究者や編集者、査読者に関する出版エクスペリエンスを強化するものとして、当出版社による新たなテクノロジーへの投資が新たなフェーズに突入したことを示すものです。

シュプリンガーネイチャーのChief Publishing OfficerであるHarsh Jegadeesan(ハーシュ・ジェガデサン)は、次のように述べています。

「信頼できる研究を出版することは、当社の事業の要です。研究の量が増加するなか、AIを最大限に利用して著者や編集者、査読者をサポートし、その作業を簡素化するとともに、品質を維持することを可能にする方法を目の当たりにし、とても嬉しく思います。私たちは、論文をチェックし、研究公正を推進するとともに、編集上の判断をサポートする新たな方法を慎重に導入することにより、研究者の日々の業務を加速し、研究者にとって重要な業務、すなわち研究の実施に集中する自由な時間を生み出すための力となることができるのです」

現在は、原稿を査読に送る前に実施する適合性評価の14ステップ(データ利用可能性ステートメント、人間倫理、動物倫理、臨床試験、および不正利用の脅威など)に対応しています。

学術コミュニティーにおけるAIとその利用に対するシュプリンガーネイチャーのアプローチの詳細については、Artificial Intelligenceのページをご覧ください。

シュプリンガーネイチャーの人工知能に関する取り組み

気候変動からパンデミックまで、科学は、世界で最も緊急に対応しなければならないグローバルな課題を解決する力となることが期待されています。今後、その期待に応えるためには、テクノロジーによる支援がさらに必要となるでしょう。シュプリンガーネイチャーは、人工知能(AI:Artificial Intelligence)をはじめとする新たなテクノロジーの可能性を解き放ち、科学的発見とイノベーションを推進することを公約として掲げています。

テクノロジーは、シュプリンガーネイチャーにおいて常に重要な役割を担い、当社が世界有数の研究・教育出版社に成長する力となってきました。事実、テクノロジーはコミュニティーにサービスを提供する当社の能力の核となっています。特にAIは、当社が研究者をサポートし、事業を強化する方法に革命をもたらしてきました。したがって、AIには、発見をさらに加速する可能性があると考えています。ただし、そのためには人間が監視してサポートすることが条件となります。だからこそ、当社のAI戦略には、技術的専門知識の拡大にとどまらず、倫理的に責任ある方法を用いてAIというテクノロジーの力を活用するという公約も取り入れているのです。

当社はテクノロジーを早い段階で取り入れることにより、以下の実現をサポートしてきました。

  • 当社のコンテンツへのアクセス性強化
    • 当社の全ジャーナルのコンテンツと書籍の90%以上について、デジタルによるアクセスを可能に
    • 1842年まで遡ってコンテンツをデジタル化
  • 当社コンテンツのオープン化促進
    • 2023年には一次論文の44%をオープンアクセス出版
    • 非オープンアクセス論文と比較して、オープンアクセス論文の閲読数増加(6倍)と利用数増加(1.6倍)
  • 当社コンテンツの使いやすさ向上
    • 2023年のコンテンツのダウンロード数は31億回。2019年以降、論文1報あたりのダウンロード数は20%以上増加
    • 2022年の論文1報あたりの平均被引用数は、2019年から11%以上増加
  • 当社からの出版を簡便化
    • 2023年には180万報の投稿論文を管理し、42万報の論文を出版
    • 2019年以降、論文投稿から受理までの処理時間を最大70%短縮

学術コミュニティーのためのAI

シュプリンガーネイチャーは、科学エコシステム全体において研究者をサポートし、付加価値をもたらしています。また、グローバルな学術コミュニティーとの緊密な協力のもと、信頼できる研究について検証し、出版し、共有しています。

当社では、3分の1以上の社員が、全世界40ヵ国以上においてテクノロジーを多用する職務に従事しており、AIなどのテクノロジーを活用して研究を加速し、アクセスを強化し、信頼性を高めています。

確実に責任を持ってテクノロジーを利用するためには、人間がその作業過程に関与し、最終的な成果物に対して責任を持つことが重要となります。

AIへのアプローチ

シュプリンガーネイチャーでは、AIによって発見が大幅に加速し、その品質が大幅に改善されるとともに、科学コミュニティーに対するサービスを向上させることが可能になると考えています。さらに、AIを利用することにより、事業効率を向上させることも可能です。いずれにおいても、人間と学術コミュニティーが意思決定の中心を担います。

当社では、AIイノベーションフレームワークを通じて関与を促すとともに、イノベーションが倫理・法的ガイドラインに沿っていること、重複を回避していること、そして最も重要な事項として、利用者と顧客に資する価値を生み出していることを確認します。

そのなかには、カスタマイズ可能な、安全で利用しやすい方法を通じ、最新の技術的進歩を活用するテクノロジーとアプローチの評価が含まれています。また、AIを利用して構築しているオーダーメイドソリューションに加え、著者と当社がその最終的な利用法に対する管理を維持しつつ、顧客による当社コンテンツの活用を可能にすることを目的としたコンテンツ配布戦略を策定しています。

当社は責任を持ってAIにアプローチしています。

  • チームの構築とAIリテラシー
  • パートナーシップの構築
  • 倫理に関する意識向上
  • AIガバナンスとイノベーションプロセス

AI原則

シュプリンガーネイチャーは、倫理を重視したアプローチを採用した上で、AIを利用したソリューションを設計し、開発し、展開し、または使用することを公約としてかかげています。当社は、責任を持ってAIソリューションを利用し、社会や環境に与える悪影響について真摯に検討し、軽減するようにしています。また、責任あるAIの利用に対するアプローチの中核には、人間中心の価値観を据えています。

  • 尊厳、尊重、害の抑制:当社は人間の幸福と尊厳を最優先し、社会や環境に対する害を防止する措置を講じます。
  • 公正性と公平性:当社は構造的バイアスと不公平が生じる可能性を抑制します。
  • 透明性:当社は自社のプロセスにおけるAIの利用についてわかりやすい言葉で説明し、必要に応じて開示説明を追加します。
  • アカウンタビリティー:当社は自社のAIツールとAIソリューションによる成果やその開発について、人間が監視する体制を維持しています。
  • プライバシーとデータガバナンス:当社は個人のプライバシーを保護し、関連するすべてのデータ保護法を遵守します。

 

シュプリンガーネイチャーについて

シュプリンガーネイチャーでは、サービスを提供するコミュニティーとの協力のもと、知識を共有し、世界に対する理解を深めることにより、進歩に貢献していることを誇りとしています。当社は数百万人もの人々に対し、書籍やジャーナル、プラットフォーム、テクノロジーソリューションを日々お届けしています。またそれにより、新たなアイデアを見いだし、発見を共有する研究者や、医学の最前線に身を置く医療従事者、学習を進化させる教育者をサポートしています。当社では、180年以上にわたり信頼を集めてきた主要ブランドや、最も厳しい基準を遵守するという断固とした公約を通じ、世界が直面する喫緊の課題に対するソリューションの加速をサポートするとともに、未来の世代にインスピレーションを与えます。

学術出版社として、シュプリンガーネイチャーは、シュプリンガー(Springer)、ネイチャーポートフォリオ(Nature Portfolio)、BMC、パルグレイブ・マクミラン(Palgrave Macmillan)、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)などの信頼されたブランドを有しています。

詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子
シュプリンガーネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース:Springer Nature: Authors, editors and peer reviewers supported with launch of new AI tool

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