イネの品種改良に役立つ遺伝子
Nature Genetics
2015年7月7日
A gene for better rice
イネの穀粒の長さを伸ばし、品質を高める遺伝子バリアントが2つの独立した研究で発見された。この望ましい遺伝子バリアントを、イネの穀粒の長さ、品質、収量に影響する既知の別の遺伝子バリアントと併用すれば、イネの改良系統を育種できる可能性があると分かった。
イネは、通常、質が高いほど胚乳の白濁度が低く、その他にもそれぞれの市場において望まれる特性(炊飯時間、粒質、色)が数多く存在する。これまでに穀粒収量を増やす遺伝子が数多く同定されているが、それ以外のイネの品質については、その調節に用いることのできる遺伝子の数は非常に少ない。このほど2つの独立した研究グループが、LOC_ Os07g41200遺伝子の変異によってイネの穀粒が細く、長くなり、胚乳の白濁度が低くなることを明らかにした。こうした質の改良で、収量は減少しなかった。
X Fuたちは、品質改良をもたらす遺伝子を同定するために、平凡な質を持つと考えられているイネ品種と優れた質のイネ品種を交配した。その結果、優れた質の品種が持つ遺伝子バリアントの発現量が高く、このことは穀粒が細長くなることと相関していた。
一方、J Liたちは、同じ手法を別のイネ品種に適用して、品質改良をもたらす遺伝子を同定した。そして、この遺伝子内の重複によって遺伝子発現が増加し、穀粒長が増大し、胚乳の白濁度が低下したことが判明した。
今回の2つの研究では、収量を増やし、あるいは品質に影響を及ぼす他の形質を改善する遺伝子バリアントとLOC_ Os07g41200遺伝子バリアントとを併用することで、非常に優れたイネの品種、エリート種を開発できることが実証された。
doi: 10.1038/ng.3346
doi:10.1038/ng.3352
注目の論文
-
2月21日
動物学:大きな鳥は必ずしも鳥頭というわけではないScientific Reports
-
2月19日
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
2月18日
がん:CAR-T療法を受けた患者に長期寛解Nature Medicine
-
2月13日
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature
-
2月13日
古生物学:初期の尾の短い鳥Nature
-
2月6日
遺伝学:古代のゲノムがヤムナ文化の起源の手がかりとなるNature