注目の論文

3万2千の遺伝子を持つニンジンゲノム

Nature Genetics

2016年5月10日

A 32,000-karat genome

ニンジンの全ゲノム配列が解読され、現在知られている野菜のゲノムアセンブリの中で最も完成度の高いものが得られた。これにより、ニンジンの進化的起源、その独特なオレンジ色や栄養価の謎を解く手掛かりとなる新知見がもたらされた。

ニンジンは、レタスやセロリと同じキク類の植物であり、世界中で重要な食糧として利用されている。だが、これらのゲノム配列はまだ解読されていなかった。

今回、P Simonたちは、1本のニンジンのDNAを用いて、質の高い参照ゲノムを構築した。その結果、32,113の遺伝子が同定され、ニンジンに特有な遺伝子は10,530に上った。次に、35種類の異なるニンジン試料と亜種(野生種と栽培種の両方)のゲノム塩基配列の解読が行われ、栽培化パターンの解明が行われた。また、Simonたちは、ニンジンと他の植物のゲノム配列を比較して、ニンジンがブドウ、キウイフルーツ、トマトから分岐した時期を決定し、ビタミンA前駆体のβ-カロテンがニンジンの根に異常に多く蓄積される原因となる遺伝子の同定も行った。

育種家がこの情報を使えば、ニンジンだけでなく他のさまざまな作物の栄養価を向上させる上で役立つ可能性があるとSimonたちは考えている。

doi: 10.1038/ng.3565

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度