注目の論文

C型肝炎治療に対する応答性

Nature Genetics

2009年9月14日

Hepatitis C treatment response

インターフェロン遺伝子の1つにみられる多型性が、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染者の治療応答性に関連することを報告する2つの論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。この2つの研究は、治療についての臨床的判断を行う際に役立つ情報となるかもしれない。

肝臓が侵される感染症であるC型肝炎は、肝疾患の主要原因の1つで、全世界で約3億人が罹患している。現在のところ、慢性C型肝炎の標準的な治療法は、48週間にわたるペグインターフェロン-アルファとリバビリンの併用療法である。ただし、この治療法は、重篤な副作用を引き起こすことがあり、この治療に応答するのは、HCV感染者全体の約40~50%にとどまっている。

ウエストミード・ミレニアム研究所(オーストラリア・ウエストミード)のJ Georgeと国立国際医療センター(東京都)の溝上雅史をそれぞれリーダーとする2つの研究チームは、慢性C型肝炎の治療を受けている数百人の患者のゲノムを調べ、IL28B遺伝子の領域内にある複数の多型が治療応答性に関連していることを報告している。IL28B遺伝子には、HCVなどのウイルスの抑制に関与するインターフェロン-ラムダがコードされている。IL29という別のインターフェロン-ラムダについては、慢性C型肝炎の治療薬としての初期臨床試験が既に実施されている。

今回の2つの研究で、この種のインターフェロンが関係する治療法が再び関心を集めると考えられる。これらの研究は、インターフェロン-アルファとインターフェロン-ラムダの併用療法が、より効果的な治療法となる可能性を示唆しており、さらには、個別化治療がもたらすと考えられる数々の利点(例えば治療法が奏効する可能性の高い患者を予測して、それ以外の患者が不必要な治療費や副作用を回避できるようにすること)も浮き彫りにしている。

doi: 10.1038/ng.447

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