【遺伝】ヒトの身長に関連する希少なバリアントと低頻度バリアントの同定
Nature
2017年2月2日
Genetics: Height genes tell a tall tale
ヒトの身長に関連する希少な遺伝子バリアントと低頻度の遺伝子バリアントが合計80種以上同定された。これらの遺伝子バリアントの頻度は低いが、同定された遺伝子は、ヒトの身長に多大な影響を及ぼし、ヒトの身長を決定する遺伝的要因に関する手掛かりとなっている。この新知見について報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
ヒトの身長を決める要因のかなりの部分は遺伝的要因だ。身長の個人差に関連する比較的頻度の高い遺伝子バリアントは700種ほど同定されているが、希少なバリアントと低頻度バリアントが果たす役割は、それほどよく分かっていない。今回、Guillaume Lettre、Panos Deloukas、Joel Hirschhornたちの研究チームは、700,000人以上の遺伝子解析を行い、身長に関連する遺伝子バリアントを新たに同定した。ここには、希少なバリアントあるいは低頻度バリアントのある遺伝子の候補83種が含まれている。これらの遺伝子の一部は、その保持者と非保持者に約2センチメートルの身長差を生じる原因であることも判明した。また、これらのバリアントの多くは、これまでに成長障害に関係があるとされている遺伝子において見つかっているが、今回の研究では、成長に関係する新たな遺伝子候補と生物学的経路も明らかになった。
今回の研究以前にも身長に関連する比較的頻度の高い遺伝子バリアントが同定されているが、身長の遺伝率の約20%を説明できるにすぎない。今回の研究では、希少な遺伝子バリアントと低頻度遺伝子バリアントも身長に関して重要な役割を担っており、遺伝率の1.7%を説明できることが実証された。この新知見は、他のヒトの複合形質の遺伝的構造を解明する上でも重要な意味を持ち、疾患のリスクの予測と治療法の開発のための新たな手段となる可能性がある。
doi: 10.1038/nature21039
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