注目の論文
食物摂取とロシグリタゾン
Nature Medicine
2011年5月2日
A Rosi-colored view of food intake
2型糖尿病の治療薬ロシグリタゾンは、食物摂取量を増加させ、肝臓代謝を改善するが、これらは脳内での作用を介して起こると、2つの研究グループから報告が寄せられている。これらの知見から、ロシグリタゾンの望ましくない作用の一部は脳内での作用によるものの、同時に有益な作用の一部も脳内での作用によることが示唆される。最近では、心血管系への副作用がロシグリタゾンを臨床で使用する際の制約となっているが、このタイプの薬を改良して副作用を避けようとする場合には、今回の知見は重要な手がかりとなる。
R Seeleyたちは、ロシグリタゾンが脳で転写因子PPAR-γを活性化し、食物摂取と体脂肪を増加させることをマウスで明らかにした。
J Olefskyたちは、マウスを遺伝子操作してPPAR-γをノックアウトすると、同じように高脂肪食を与えても、正常マウスに比べて食物摂取と体脂肪が減少することを明らかにした。しかし驚いたことに、ノックアウトマウスは対照の野生型マウスに比べて高脂肪食による体重増加が少なかったにもかかわらず、肝臓のインスリン感受性は対照群よりも悪かった。また、体脂肪の増加はロシグリタゾンを投与した患者によく見られることだが、ノックアウトマウスでは体脂肪の増加が抑えられたものの、インスリン感受性を高めるというロシグリタゾンの有効性が低下することもわかった。
doi: 10.1038/nm.2332
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