注目の論文

【社会学】芸術家、文化活動者、研究者のキャリアにおける連戦連勝状態の分析

Nature

2018年7月12日

Social science: Hot streaks in artistic, cultural and scientific careers analysed

ホットストリーク(成功が何度も繰り返される期間)は、個人のキャリアにおいて「期間限定」で出現し、出現時期に規則性がなく、その期間中の生産性に検出可能な変化が見られないことを明らかにした論文が、今週掲載される。

ホットストリークは、「勝利が勝利を生む」状態だと大まかに定義され、特定の期間中に個人のパフォーマンスが通常時より著しく高くなることを明確に示している。ホットストリークは、スポーツとギャンブル、金融市場に関して広く議論されたが、個人のキャリアにも当てはまるのかどうかについては、ほとんど分かっていない。

今回、Dashun Wangたちの研究グループは、3480人の芸術家、6233人の映画監督、および2万40人の科学者の職歴が記録されたデータセットを集め、それらの人々が生み出した芸術作品、映画、論文の影響を、それぞれ競売価格、インターネット・ムービー・データベース(IMDb)の格付け、出版後の10年間に獲得した被引用数によって近似することで明らかにした。その結果、大多数の芸術家(91%)、映画監督(82%)、および科学者(90%)に1回以上のホットストリークが起こり、影響力の大きな作品や成果が集中的に続々と生み出されたことが判明したが、キャリアにおけるホットストリークの出現時期に規則性は認められなかった。また、ホットストリークの際の個人の生産性に検出可能な変化は見られなかったが、生産量は通常時より著しく増加した。このことは、ホットストリークが起こると、個人の創造力に内因性の変化が生じることを示唆している。

doi: 10.1038/s41586-018-0315-8

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