注目の論文

【古生物学】中国の霊武(Lingwu)で出土した「神奇的恐竜」の化石

Nature Communications

2018年7月25日

Palaeontology: The 'amazing dragon' of Lingwu

ディプロドクス上科の恐竜が、パンゲア超大陸全体に分布していたことを示唆する論文が、今週掲載される。この論文で、著者たちは、ジュラ紀中期の前半(約1億7400万年前)の中国に生息していたディプロドクス上科の恐竜種が新たに同定されたことを報告し、ディプロドクス上科種とその他の新竜脚類恐竜の起源と分散に関する通説に異論を唱えている。

竜脚類は、首の長い草食恐竜で、地球上で生息した期間が最も長く、最も大型の陸生動物の1つだ。竜脚類が進化した新竜脚類恐竜は、パンゲア超大陸が分裂した際に多様化し、それぞれの種が孤立するまでは東アジアに到達しなかったと考えられてきた。

今回、Xing Xuたちの研究グループは、中国・寧夏回族自治区の霊武(Lingwu)で、ディプロドクス上科恐竜のこれまでに知られていなかった種の部分的な骨格化石を数点発掘し、Lingwulong shenqi(「霊武の神奇的恐竜」の意)と命名した。これらの化石の年代は約1億7400万年前と決定され、この種が新竜脚類恐竜種の最初期のものとされた。

今回の研究では、この新種を含めた進化解析と生物地理解析が実施され、新竜脚類恐竜は、これまで考えられていたようにジュラ紀後期(1億6300万年~1億4500万年前)への移行期に急速に優勢になったのではなく、ジュラ紀中期(1億7400万年~1億6300万年前)に既に多様化し、広範囲に生息していたことが示唆されている。さらに、竜脚類の主要な分類群は、ジュラ紀前期に出現した可能性を指摘している。

doi: 10.1038/s41467-018-05128-1

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度