注目の論文
【分子生物学】食品保存料に用いられる化学物質が培養細胞のエピゲノムに組み込まれた
Nature Communications
2018年8月29日
Molecular biology: Preservative incorporated into epigenome in cell culture
食品保存料として用いられる安息香酸ナトリウムという化学物質が、培養細胞のエピゲノム(遺伝子の発現を調節するゲノム上のマーカーの集合体)に組み込まれることを実証した論文が、今週掲載される。この知見は、食事の成分が細胞にどのように組み込まれ得るかという潜在的機構を示唆しているが、安息香酸ナトリウムを摂取する生物においても同じ効果を検出できるのかどうかを見極めるためにさらなる研究が必要となる。
我々の食事が健康上の転帰と平均余命に影響を及ぼすことを示す証拠が蓄積されてきており、こうした証拠は肥満、糖尿病、がん、精神疾患などの疾患の予防に役立つ可能性もある。しかし、食事が我々の生理に影響を与える機構については十分に理解されていない。細胞の機能を変化させる1つの経路として、エピジェネティックな調節が考えられている。
今回、Yingming Zhaoたちは、プロテオミクスと生化学的方法を用いて、培養細胞におけるヒストンの翻訳後修飾として、リシンのベンゾイル化を新たに同定し、このヒストン標識の沈着が、細胞の遺伝子発現を変化させて、インスリン分泌などの代謝関連経路に影響を及ぼすことを明らかにした。Zhaoたちは、リシンのベンゾイル化に必要な基質の供給源として安息香酸ナトリウムを特定し、安息香酸ナトリウムがヒストン標識の蓄積を促進することも明らかにした。
doi: 10.1038/s41467-018-05567-w
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