注目の論文
古生物学:鱗竜類の起源
Nature
2021年8月26日
Palaeontology: The rise of the lepidosaurs
三畳紀のアルゼンチンに生息していたトカゲ似の爬虫類の頭蓋骨化石について記述された論文が、今週、Nature に掲載される。この化石の年代測定が行われて、約2億3100万年前のものとされ、ヘビ、トカゲ、ムカシトカゲの進化へとつながる分類群の起源を解明するための手掛かりが得られた。
鱗竜類は、有鱗爬虫類で、有鱗目(トカゲ類とヘビ類)とムカシトカゲ目[トゥアタラ(ニュージーランドで見られる爬虫類)など]が含まれる。鱗竜類は、1万1000種以上からなり、最も多様な現生陸生脊椎動物の分類群だが、断片的な化石記録しかないため、その姉妹系統群(ワニ類を含む主竜様類、鳥類型恐竜、非鳥類型恐竜)と比べて、初期進化についてはほとんど分かっていない。
今回Ricardo Martínezたちが記載したのは、保存状態の良い爬虫類の頭蓋骨化石で、有鱗目とムカシトカゲ目の分岐が起こる前のものとされ、鱗竜類の出現に近い時期のものであり、これまでで最も古い鱗竜類の1つとなる可能性がある。この頭蓋骨には、現生種のトゥアタラと共通の特徴があり、ムカシトカゲ目に特有と考えられるいくつかの解剖学的特徴が鱗竜類進化の初期に出現したことが示唆されている。この化石は、ヨーロッパで最古の鱗竜類よりも約1100万年後のもので、南米で最古の鱗竜類とほぼ同時代のものだ。今回の知見は、鱗竜類のステム群とクラウン群が、三畳紀の少なくとも1000万年間にわたって共存しており、初期の鱗竜類の地理的分布が、以前考えられていたよりもかなり広いことを示している。
doi: 10.1038/s41586-021-03834-3
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