注目の論文

発育のために転用される行動反応

Nature Communications

2011年12月21日

Co-opting behavioural responses for development

ウニの幼生において、食料が豊富に存在しているときには、ドーパミンシグナル伝達が採餌構造の伸長を阻止することがわかった。ウニの幼生は行動反応に通常用いられる経路を自らの発育を変えるために用いている可能性が、この新知見から示唆されている。 食料や獲物は、生物の代謝反応や行動反応、発育反応を誘発する強力な刺激として作用することがある。ウニの幼生の反応は、獲物が誘発するそれ以外の数多くの反応と同じように、攻撃的反応の一種で、捕食者の食料取得を増やすものと考えられてきた。今回、D Adamsたちは、食料が誘発するドーパミンシグナル伝達によって、採餌し始める前の幼生において作動する「初期設定の」発育プログラムが抑制されて、採餌構造が短縮され、その結果、食料取得の潜在能力が低下することを明らかにした。そして、Adamsたちは、食料が豊富にある場合には、ウニの幼生が、短い採餌用の腕を伸ばして、食料取得の潜在能力を最大レベルから落とし、その代わりに母性資源を温存して、その結果として適応度を最大化させていることを実証した。 この新知見は、食料の入手可能性に応じて、ドーパミンシグナル伝達を操作して、発育を激変させられることを示唆している。

doi: 10.1038/ncomms1603

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度