注目の論文
HIVの操り方を理解
Nature Immunology
2012年6月11日
Getting a handle on HIV control
HIV感染者の中には、感染はしてもHIVに抵抗できる少数の患者がいるが、どのようにして抵抗するのか、そのしくみの報告が寄せられている。「エリートコントローラー」と呼ばれる人たちは、ウイルスにいつも曝されているにもかかわらず、正常な免疫機能を維持し、HIV感染レベルを検出できない程度に抑えておける。
Bruce Walkerたちは、このような驚くべき免疫制御の原因は、白血球の一種、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の性質にあると考え、HIV感受性の感染者とエリートコントローラーのCTL応答について、厳密に定義した一貫性のある膨大な数のパラメーターを比較した。すると、わずかに2点だけ、明白な違いが認められた。まず第1に、エリートコントローラーのCTLは感染細胞を殺す能力が高い。第2に、このCTLは、通常なら免疫応答を逃れてしまうHIV変異体に対する対処能力も高い。このような特性は、エリートコントローラーのCTL集団の構成のおかげらしい。特に、このCTLがウイルス検出に利用するT細胞受容体には独特な特徴があり、CTLはそのおかげで、感染を受けた幅広い標的細胞を殺すことができる。
エリートコントローラーによるHIV抑制のしくみの解明は、T細胞ワクチン設計や治療戦略に重要な意味をもつ。
doi: 10.1038/ni.2342
注目の論文
-
2月21日
動物学:大きな鳥は必ずしも鳥頭というわけではないScientific Reports
-
2月19日
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
2月18日
がん:CAR-T療法を受けた患者に長期寛解Nature Medicine
-
2月13日
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature
-
2月13日
古生物学:初期の尾の短い鳥Nature
-
2月6日
遺伝学:古代のゲノムがヤムナ文化の起源の手がかりとなるNature