注目の論文
【行動】フェロモンを手がかりに餌を探すガの幼虫
Nature Communications
2012年9月5日
Behaviour: Hungry caterpillars follow pheromones
ガやチョウの成体は、配偶者を引き寄せるときに匂いを利用するが、幼虫もこれと同じ匂いのついた食物に引き寄せられることがわかった。今回の研究では、通常の食物と性フェロモンの混ざった食物を選べる状況下で、幼虫は、フェロモン入りの食物を選ぶことが明らかになった。これは意外な発見と言える。性的に未熟な幼虫は、ガやチョウの成体が放出する性フェロモンには応答しないと考えられていたからだ。この結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
E Jacquin-Jolyたちは、ワタやタバコの葉など多彩な植物を餌とするヤガ科スポドプテラ属Spodoptera littoralisの幼虫で、こうした観察結果を得た。この幼虫は、雌雄を問わず、雌フェロモンに引き寄せられており、このことは、幼虫がフェロモンのシグナルを性フェロモンとして使っていないことを示している。Jacquin-Jolyたちは、幼虫が、自然界で食物を見つけるための便法として、この匂いを利用している可能性があると考えている。ガの成体には、適切な植物を効果的に見つけ出せるような複雑度の高い嗅覚系が備わっているからだ。
doi: 10.1038/ncomms2050
注目の論文
-
7月3日
ゲノミクス:古代DNAがエジプト人の祖先の謎を解明するNature
-
7月3日
進化:擬態は見る者の目に依存するNature
-
7月1日
心理学:AIが生成した応答を人間によるものと表示すると共感が高まるNature Human Behaviour
-
7月1日
加齢:慢性炎症はすべての集団において加齢と関連するとは限らないNature Aging
-
6月27日
動物学:笑い声を聞いたボノボは、報酬を期待する可能性が高まるScientific Reports
-
6月26日
生態学:バッタの群集行動を抑制Nature