人と機械
Nature Neuroscience
2012年11月12日
Man and machine
たいていのブレイン・マシン・インタフェース(Brain-machine Interface:BMI、脳介機装置)は、一度に標的1つに対する動きを計画するだけに限定されているが、2つの独立した標的に対しての動きを同時に計画することが可能だとの研究が、今週号のNature Neuroscience誌に報告されている。 BMIを用いると麻痺患者が外部の義肢を動かせるようになるかもしれず、今回の結果はBMIが実際の世界で必要なもっと複雑な動きを取り扱えるような潜在能を示唆している。BMIは脳と外部の機器とで直接の連絡ができるようにする。しかしたいていのBMIは、これまでのところ一度に1つの標的に対する運動を計画するだけに限定されており、BMIが記憶として保持されている運動を1つだけ解読し安定性を失う危険を冒すかもしれない以上、これでは麻痺患者を介助するなどの医療目的に用いるのは現実的ではない。
Ziv Williamsほかの研究者は、サルに2つの標的の順番を覚えさせ、その後コンピューターでそれら標的にカーソルを動かすという課題を与え、サルの脳活動を記録した。Williamsらは、次にくる動きのそれぞれが同一の脳領域にある異なる細胞集団によって同時に符号化されていることを発見した。Williamsらはさらに、これらの脳活動パターンを解読するようにコンピューターをプログラムし、サルが覚えた場所に連続してカーソルを動かせるようにする信号を作り出した。Williamsらが創出したBMIは、リアルタイムで作業をこなすのに十分な素早さで脳活動を解読できるらしく、サルがするのと同じようにほぼ同時にカーソルを動かした。
doi: 10.1038/nn.3250
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