注目の論文
クローン病の感受性遺伝子座は30個以上
Nature Genetics
2008年6月30日
Thirty loci and counting for Crohn’s disease
一般的な炎症性腸疾患であるクローン病の感受性を付与する遺伝子座として30を超える遺伝子座が同定されたことを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。一般的な疾患の発症リスクに対する遺伝的影響の内容がこれほど詳しく解明された研究結果は、これまでなかった。
3件のクローン病ゲノムワイド関連解析の結果が最近発表され、クローン病の高い発症リスクと関連する11の遺伝子座が同定された。今回、ハーバード大学医学系大学院(米国マサチューセッツ州ボストン)のM Dalyがリーダーとなり、上記関連解析研究の著者が、それぞれのデータを持ち寄って、クローン病感受性に弱い影響を与える遺伝子多型を同定する可能性を高める総合的「メタ解析」を実施した。この方法を用いた結果、21の遺伝子座が追加的に同定された。以上の結果を合わせると、合計32の遺伝子座が、発症リスクの全体的変動の約10%の原因になっており、環境的要因が大きな役割を果たしていることを考えると、遺伝的リスクの最大20%に相当する可能性がある。こうした全体像からは、わずかな数の遺伝子座が著しくリスクを高め、それより相当に多い数の遺伝子座が弱い影響を与えることが示唆されている。
クローン病に関与すると考えられてきた個別遺伝子のうちの3つは、1型糖尿病や喘息のリスクに影響することが既に明らかになっている。このことで、これらの疾患の背後に共通の遺伝機構が存在する可能性が生まれている。
doi: 10.1038/ng.175
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