注目の論文
寄生生物に対する新たな防御機構
Nature Immunology
2008年6月30日
New anti-parasite protective mechanism
免疫系が、ヒトの疾患であるトキソプラズマ症の原因となる寄生生物トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)と戦う方法が発見されたことを報告する論文が、Nature Immunology(電子版)に掲載される。
免疫系の弱った人に重度の疾患を引き起こすT. gondiiと戦うためには、CD8+Tリンパ球という免疫細胞が必要とされる。CD8+Tリンパ球は、T. gondiiに感染した細胞の表面に提示されたT. gondii由来のタンパク質断片を認識する。N Shastriらは、マウスを使った実験によって、T. gondiiタンパク質であるGRA6の断片が、CD8+Tリンパ球の標的の1つとなっており、このタンパク質断片が防御的免疫応答を誘導することを明らかにした。
また、Shastriらは、タンパク質を「切り取って」断片化させるハサミの作用をする宿主細胞タンパク質ERAAPが、この防御作用のあるGRA6断片の産生に必要なことも明らかにした。ERAAPが、病原体に対する免疫応答において特異的で防御的な役割を果たすことが明らかになったのは、今回が初めてである。
doi: 10.1038/ni.1629
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