注目の論文
アルツハイマー病は伝染する?
Nature Cell Biology
2009年6月8日
Can Alzheimer's disease be infectious?
アルツハイマー病患者の脳にみられる神経原繊維のもつれを、健康なマウスの脳に注入してやると同じようなもつれができることがわかった。これは、このような「もつれ」が接触伝染性をもち、プリオンと似ている可能性を示している。プリオンは狂牛病やヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)などの感染性の脳疾患に関連しているタンパク質である。
M Tolnayたちは、アルツハイマー病でみられる「もつれ」、つまり神経原繊維変化の成分であるヒト・タウタンパク質変異体を発現するマウスの脳切片の抽出物を、ヒトの正常なタウタンパク質を発現するマウスの脳の特定の領域に注入した。脳抽出物はマウス脳内で正常なヒト・タウタンパク質に神経原繊維変化を作らせることがわかった。さらに、このような新しく形成された神経原繊維変化は脳内で周囲に広がっていくこともわかった。
従来、タウオパチーに属する神経変性疾患で形成されるタウ封入体には、接触伝染性はないと考えられていた。一方、プリオンタンパク質は伝染性で、その異常な折りたたみ構造により正常なタンパク質をプリオンと同じ異常な構造に変えることで伝播すると考えられている。
今回の研究は、タウオパチー研究で、タウタンパク質の異常な構造が伝播する仕組みの解明や、タウオパチーとプリオン病がどの程度類似しているのかを解明するための新しい道を開く助けとなりそうだ。
doi: 10.1038/ncb1901
注目の論文
-
10月16日
古生物学:アルゼンチンの恐竜たちはどのようにして首を長く伸ばしたのかNature
-
10月16日
古生物学:初期のホミニンの手を解明するNature
-
10月10日
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
10月8日
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
10月3日
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
10月2日
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature