南アジア系の人々の心不全リスクと関連する一般的な遺伝子多型
Nature Genetics
2009年1月19日
Common risk variant for heart failure in South Asians
南アジア系の人々の約4%は、心不全の主たる原因である心筋症の高いリスクと関連する遺伝子多型を有している。そのリスクは、約7倍に上昇するが、一般的な遺伝子多型によるリスク上昇としては比較的大きく、この多型を有する者は、一生、心不全にかかりやすい状態が続く。こうした研究成果を報告する論文がNature Genetics(電子版)に掲載される。
特定の心臓タンパク質をコードする遺伝子の変異が、心筋の筋力低下を特徴とする心筋症と関連することが既に明らかになっている。今回、細胞分子生物学センター(インド・ハイデラバード)のK Thangarajらは、インド人の心筋症患者集団(2集団)を対象として、そうした変異の1つである25塩基対の欠失を調べた。その結果、この欠失が、最大7倍の高さの心筋症リスクと関連していることが判明した。研究チームは、血縁関係のないインド人家系(28家系)を調べ、この欠失を有する者の中に、20代までに心筋症を発症したものがおり、各家系において、この欠失を有する最年長者の90%以上が心筋症患者であることを明らかにした。この欠失は、東南アジア系の人々に見られることもあるが、その他の地域では検出されていなかった。
またThangarajらは、この欠失の頻度が、インドの北部よりも南部と西部に有意に高いことを示し、この分布が、インド南部での心不全の高い発症率と相関していることを明らかにした。このように不利な状態であるにもかかわらず、この欠失の頻度が南アジア系の人々に高い理由として、Thangarajらは、この欠失の影響が出てくるのが、通常、生殖年齢を過ぎてからである点を挙げている。
doi: 10.1038/ng.309
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