注目の論文
結核薬の後押し
Nature Medicine
2009年5月4日
Antituberculosis boosters
結核治療に用いる抗生物質の効果を高める分子が開発された。この新しい「ブースター」薬を利用すれば、既存の抗結核薬の投与量を少なくしても、感染と闘う上で従来の高投与量治療と同じくらいの効果が得られるという。
現在の結核治療薬には副作用があり、服薬不履行の危険性が高く、薬剤耐性菌の出現につながる。
いくつかの抗結核薬は、代謝による活性化を受けて初めて、結核菌に対する殺菌作用をもつようになる。結核の第二選択薬であるエチオナミドなどといった薬は、EthAとよばれる細菌酵素によって活性化される。EthAの生産は、EthRとよばれる転写抑制因子によって制御される。
A Baulardたちは、培養中でのエチオナミドの代謝活性化を10倍以上促進するEthR阻害剤を設計した。結核菌を感染させたマウスで調べたところ、これらの阻害剤の1つを利用すると、少量のエチオナミドを投与しても、従来通りの高投与量治療と同等の感染抑制効果がみられた。この新しいEthR阻害剤がもつ促進効果をきっかけに、エチオナミドや類似化合物を結核に対する第一選択薬として見直す動きが出てくるだろう。
doi: 10.1038/nm.1950
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