注目の論文
アレルギー反応の開始因子
Nature Immunology
2009年5月25日
Initiator of allergic responses
アレルギー反応、すなわち寄生虫に対する免疫応答を開始させる、特殊な免疫細胞の新しい「抗原提示」機能が明らかになった。この研究をきっかけに、この好塩基球とよばれる細胞が、アレルギー反応を避ける治療の標的として注目されるだろう。
好塩基球は化学メディエーターを放出する免疫細胞で、これがアレルギー反応にともなう喘鳴、かゆみなどの症状を引き起こす。D Artis、中西憲司、R Medzhitovが率いる3つのグループは、抗原に最初に対応してナイーブT細胞に抗原提示するのは好塩基球であることを明らかにした。この「初回抗原刺激を受けた」T細胞が免疫系を誘導してインターロイキン4と免疫グロブリンEを分泌させ、これが寄生虫や寄生生物の排除を助けるが、アレルギー反応の原因にもなる。
これまで、好塩基球が働くのは、個体が抗原や寄生虫に以前に接触して「感作」された後でのことと考えられてきた。新しい研究で、これらの細胞がアレルギー反応の開始と増幅の両方に作用することが判明した。そのため、ひとたび抗原との接触によってアレルギー反応が開始すると制御は困難で、このことはアレルギー患者を見れば裏付けられる。
ウイルスや細菌感染の際の抗原提示細胞として重要な樹状細胞が、アレルギー反応も開始させると以前に考えられていたが、今回の研究により、その可能性は否定された。
doi: 10.1038/ni.1737
注目の論文
-
3月27日
医学研究:ブタから人間への肝臓移植の評価Nature
-
3月25日
神経科学:マラソンランナーは脳内のミエリンの可逆的な変化を経験するNature Metabolism
-
3月25日
加齢:健康的な加齢のための食事パターンの特定Nature Medicine
-
3月20日
神経科学:鳥の脳が明かす言語の秘密Nature
-
3月20日
創薬: 新しい抗真菌薬が多剤耐性の真菌を撃退Nature
-
3月18日
ウイルス学:FDA承認の抗ウイルス剤がマウスにおける鳥インフルエンザの転帰を改善Nature Microbiology