数種類のがんに共通する感受性座位
Nature Genetics
2009年7月6日
A common susceptibility locus for several types of cancer
染色体座位9p21にある2つの遺伝子の近くに特定の遺伝的多型があると、グリオーマ(神経膠腫)、基底細胞がん、メラノーマ(黒色腫)など数種類のがんのリスクが高まることが、5つの独立した研究によって明らかになった。これらの研究論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
がん研究所(英国サットン)のR Houlstonとカリフォルニア大学サンフランシスコ校(米国)のM Wrenschの2つの研究チームは、グリオーマの新たなリスク多型を同定した。グリオーマは脳腫瘍の一種で、通常、予後がよくない。この研究では、グリオーマの高いリスクと関連する5つの座位が同定され、その1つが、染色体座位9p21の遺伝子CDKN2AとCDKN2Bの近傍にある遺伝的多型である。
基底細胞がん(BCC)は、非メラノーマ皮膚がんの一般的なタイプである。BCCの主な環境リスク因子は、日光に当たることだが、遺伝的感受性もBCCのリスクを決定するうえで重要な役割を担っている。デコード社(アイスランド・レイキャビク)のS Staceyらは、遺伝子CDKN2AとCDKN2Bの近傍にあるBCCのリスク多型とほかの染色体上にある2つの新たなリスク多型を同定した。
そして、ロンドン大学キングズカレッジ(英国)のT Spectorとリーズ大学(英国)のT Bishopの2つの研究チームは、遺伝子CDKN2AとCDKN2Bの近傍で、メラノーマの感受性座位を同定した。メラノーマは、BCCと同様に、日光に繰り返し当たることと家族歴があると発症リスクが高くなる。この2つの研究では、メラノーマの高いリスクと関連する別の3つの遺伝的多型についても報告されている。
doi: 10.1038/ng.407
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