注目の論文

化学療法抵抗性の腫瘍のポンプを止める

Nature Biotechnology

2009年6月29日

Stopping the pumps in chemotherapy-resistant tumours

化学療法への抵抗性獲得につながるがん細胞の薬剤排出能力を妨げる、新しいタイプの人為的薬剤送達システムの報告が寄せられている。マウスではこの方法により、薬剤抵抗性の大腸がん、乳がん、子宮がんの成長が抑えられ、生存期間が大幅に延長する。

H Brahmbhattたちの手法は、ミニセルを利用する。ミニセルは、遺伝物質をもたず生きていない空っぽの細菌で、さまざまな種類の薬剤を入れることができる。マウスには、2種類のミニセルを順に投与した。1つ目には、薬剤抵抗性の原因となるポンプの生産を阻害する小型のRNA分子を入れ、2つ目には、ポンプが機能しなくなったがん細胞を殺す化学療法剤を入れた。

この化学療法剤は全身循環へ回らないために、通常の必要量よりもはるかに低濃度でがん細胞を殺せるので、望ましくない副作用を避けることができる。

doi: 10.1038/nbt.1547

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度