注目の論文
乳がんの新しい前駆体細胞集団
Nature Medicine
2009年8月3日
A new progenitor cell population in breast cancer
一部の乳がんは、変異した乳腺幹細胞から生じると考えられているが、新たな研究によって、乳管の内側を覆う管腔細胞もがんの前駆体細胞である可能性が明らかになった。
基底細胞様乳がんは、がん抑制タンパク質BRCA1の遺伝子に変異をもつ女性に発生する。J Visvaderたちは、正常なBRCA1遺伝子と変異BRCA1遺伝子を1個ずつもつ女性の正常な乳腺組織と前がん性組織から、細胞集団を区別して単離した。すると、BRCA1の変異をもつ女性の乳房組織では管腔細胞前駆体集団が拡大していることがわかった。遺伝子発現パターンの解析により、基底細胞乳がんのがん細胞は、幹細胞集団を含めたどの細胞集団の細胞よりも、管腔細胞前駆体に似ていた。
BRCA1の変異保有者の前がん性組織に異常に大きい管腔細胞前駆体集団が見つかったことから、この細胞が、この種の乳がんの治療標的として有望なことがはっきりした。
doi: 10.1038/nm.2000
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