注目の論文
統合失調症の発症リスクに寄与する稀なde novo変異
Nature Genetics
2008年5月31日
Rare ‘de novo’ mutations contribute to schizophrenia risk
非家族性統合失調症の患者のゲノムには、非患者の8倍の確率で、コピー数変異がみられることを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。コピー数変異は、新たに発生する(de novo)変異であり、患者の両親(非患者)にはみられないため、統合失調症の強い家族歴のない者が統合失調症を発症するケースのかなりの部分は、コピー数変異が原因なのかもしれない。
コロンビア大学医療センター(米国ニューヨーク州)のM KarayiorgouとJ Gogosをリーダーとする研究チームは、152人の統合失調症患者とその両親(非患者)のゲノムを解析して、コピー数に変動がないかどうかを調べ、その結果を統合失調症にかかっていない者(159人)のゲノム解析結果と比較した。すると、コピー数変異がみられたのは、統合失調症患者152人のうち15人で、非患者159人では、わずか2人だった。こうした変異の中には、22番染色体上の1つの領域(統合失調症に関与するとした研究報告あり)の欠失が含まれるが、その他いくつかの染色体上のコピー数変異も含まれており、統合失調症の遺伝的異質性を反映している。これらの領域は、神経発生に影響する遺伝子が、いくぶん多く含まれており、一部の領域には、今後詳細に検討する必要が認められる個々の有望な候補遺伝子が存在している。
Karayiorgouら論文著者は、統合失調症患者の生殖率と繁殖率が低いにもかかわらず、集団中での統合失調症がなくならないのは、かなりの数のde novo変異が原因となっている可能性があると指摘している。
doi: 10.1038/ng.162
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