注目の論文
思いもよらないところからの感染
Nature Immunology
2008年5月31日
Fighting infection from an unlikely source
感染に対する長期免疫に、珍しい種類の白血球が重要な役割を果たしていることが明らかになった。体内を循環している全白血球の1%にも満たない好塩基球が、連鎖球菌感染の予防の鍵を握っている可能性があるという。好塩基球が主にかかわるのは、アレルギー反応や寄生虫に対する防御作用に関係するヒスタミンなどの因子類の放出である。
M Mackたちは、好塩基球が病原体の生産する外来分子を検出することを発見した。その後の感染の際に、好塩基球はその病原体との以前の出会いを「覚えていて」、インターロイキン4とインターロイキン6という科学メディエーターを放出する。これらのインターロイキンは、Bリンパ球とよばれる別の免疫細胞が抗体をつくってその病原体を攻撃破壊するのを助ける。好塩基球数の少ないマウスは、例えば、髄膜炎、肺炎、人食いバクテリア症(劇症型溶血性連鎖球菌感染症)の原因となる連鎖球菌に著しく感染しやすくなる。
これまでの研究でインターロイキン4や6が抗体生産に重要なことは知られていたが、これらの情報伝達分子の発生源が、白血球の中でも最も少数派の好塩基球であることは、これまでわかっていなかった。
doi: 10.1038/ni.1621
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