アルツハイマー病に新たな3つの治療標的
Nature Genetics
2009年9月7日
Three new targets in Alzheimer\'s disease
遅発性アルツハイマー病との遺伝的関連が新たに3つ見出されたことを報告する2編の論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。遅発性アルツハイマー病の場合には、APOE遺伝子との関連が十分に確立されているが、今回は、それ以外の遺伝子との関連が初めて確実に再現された。アルツハイマー病は、世界で最もよくみられるタイプの認知症である。
リール・パスツール研究所(フランス)のP Amouyelとカーディフ大学(英国)のJ Williamsをリーダーとする2つの研究チームが、遅発性アルツハイマー病に関するゲノムワイド関連解析をそれぞれ独自に実施した。その結果、両チームは、APOE遺伝子と遅発性アルツハイマー病の十分に確立された関連を再現したことに加えて、この病気の進行に関連する3つの遺伝子座を新たに同定したことを報告している。今回同定された遅発性アルツハイマー病関連遺伝子のうち、CLU(クラスタリン)遺伝子とCR1遺伝子については、アミロイドベータペプチドの除去に関与することが既に明らかになっている。アミロイドベータペプチドは、アルツハイマー病患者の脳内に形成されるアミロイド斑の主たる構成要素である。また、主要な脳内アポリポタンパク質の1つであるクラスタリンは、アミロイドベータタンパク質と結合することが明らかになっており、アミロイド斑から検出されている。
アルツハイマー病の遺伝的リスクは、アルツハイマー病への進行の全リスクの80%を占めると推定されている。アルツハイマー病とAPOE遺伝子の関連は、過去10年間に数多くの研究で強固に確立されてきたが、今回の2つの研究は、遅発性アルツハイマー病に関連する比較的高頻度の遺伝的多型を新たに同定し、その再現性を確認した初めての大規模な遺伝的関連研究である。
doi: 10.1038/ng.439
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