注目の論文
がん遺伝子の発見に弾み
Nature Biotechnology
2009年2月23日
Jump-starting cancer-gene discovery
「ジャンピング遺伝子」をうまく利用して、肝臓の腫瘍で最も広く異常のみられる遺伝子が同定された。この方法は、ほかのさまざまながんについても、関連する遺伝子の同定に幅広い応用が期待できる。
がん細胞で変異している重要な遺伝子や遺伝子群は数多く見つかっているが、肺がん、乳がん、肝臓がんなどのがんでは、特異的な原因遺伝子の変異を探して研究が続いている。D Largaespadaたちは以前に、ジャンピング遺伝子、すなわちトランスポゾンを発現するマウスを遺伝子操作によって作り、トランスポゾンが転移してがん遺伝子の内部や近くに移ると、必ず腫瘍が発生することを明らかにした。今回はこの系に細かい改良を加え、特定細胞だけで遺伝子が破壊されるようにした。トランスポゾンの移動を肝細胞だけに限定することにより、肝臓の腫瘍中でその転移経路をたどって、19の遺伝子が同定できた。これらの遺伝子は、実際にヒトの肝臓がんで異常がみられることが多いこともわかった。
この方法は、脳腫瘍、膵臓がん、大腸がんなどといったヒトのほかのがんのプロフィール解明にも役立ち、さらには、もっと効果的ながんの治療法の開発にも道を開くだろう。
doi: 10.1038/nbt.1526
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