注目の論文
多種のインフルエンザウイルス株を中和する抗体
Nature Structural & Molecular Biology
2009年2月23日
Antibodies that neutralize multiple flu strains (N&V)
さまざまな種類のインフルエンザウイルスに対し、致死量のウイルス株から動物を守るヒト抗体が遺伝子操作でt作り出された。Nature Structural & Molecular Biology(電子版)によると、この抗体は、H5N1亜型(鳥インフルエンザ)やH1N1亜型(1918年のスペイン風邪)など、広範なインフルエンザウイルス株に作用する。
病気にかかったりワクチンを接種したりすると普通は、将来のインフルエンザ感染から身を守るために体内で抗体が生産される。しかし、通常この抗体は、感染したのと同じウイルス株しか中和できない。
W Marascoらは、インフルエンザウイルスの赤血球凝集素というタンパク質を広く中和する抗体を選び出した。赤血球凝集素はウイルスを宿主細胞に固定して融合を促進し、ウイルスが細胞に効率的に侵入できるようにする。抗体は、疫系には認識されにくく、ウイルス株間で大きな変異のない赤血球凝集素の領を認識し、ウイルスの融合を妨げる。抗体はこのやり方で、既存の16種のインフエンザウイルス赤血球凝集素のうち8種に結合できることが調べられた。
同誌のNews & Views欄でP Paleseは、この研究で「普遍的な免疫治療、つまり万能ワクチンに手が届くかもしれない」と述べている。
doi: 10.1038/nsmb.1566
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