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【神経科学】光起電力技術を利用した人工網膜による視力回復
Nature Communications
2013年6月19日
Neuroscience: Seeing the light with visual prostheses
光起電力技術を利用した人工網膜を移植されたラットが、光に対して視覚応答を示した。この人工網膜を光で刺激すると、視覚処理を行う脳領域で応答が誘発されたのだ。
近年、視覚障害者の視力回復が期待される光起電力技術を利用した視覚補綴の研究が勢いを増している。この視覚補綴は、網膜組織の刺激に有益なことが明らかになっているが、視力の回復に役立つのかどうかという評価は行われていなかった。今回、Yossi Mandelたちは、網膜が変性したラットに視覚補綴を移植して、視力回復の指標として脳内の視覚皮質からの神経応答を記録した。そして、この視覚補綴がどれほど有効に網膜組織を刺激するのかを調べた過去の研究で用いた刺激と同じ光刺激を加えたところ、視覚皮質の応答が起こることがわかった。Mandelたちは、この視覚補綴が視力の完全回復にどれほど有効なのかを見極めるためには、さらなる研究が必要なことを認める一方で、そうした研究の結果、人工網膜に光起電力技術を用いることの実現可能性について、心強い安心感が得られることを期待している。
網膜色素変性症と加齢黄斑変性症は、先進国での主たる失明原因として挙げられる。こうした疾患の進行を遅らせるための治療法が一部の患者で功を奏しているが、現在のところ、治癒のための治療法は知られていない。
doi: 10.1038/ncomms2980
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