注目の論文
隙間を埋めようとする細胞
Nature Materials
2013年6月24日
Pulling into the void
移動する上皮細胞シートの縁にある細胞は、動く方向にかかわらず、組織的かつ協調的に自らを細胞の存在しない領域に引き込もうとするという報告が、今週オンライン版に掲載される。こうした基本的なパターン形成能が発見されたことによって、例えば創傷治癒、腫瘍浸潤、胚発生時の細胞移動への理解が深まるであろう。
上皮細胞単層は、皮膚、肺、血管といった体表・体腔を覆う細胞1個分の厚さのシートである。Jeffrey Fredbergらは、細胞が付着できない非接着性円形領域に向かって前進する、あるいはそれを通り過ぎる上皮細胞シートにおける速度、細胞牽引力、細胞間応力を単層応力顕微鏡法で調べた。その結果、非接着性円形領域の近くに位置する細胞は、動く方向にかかわらず(その領域に向かって近づいているか、縁の接線方向に移動しているか、あるいはその領域から遠ざかっているかにかかわらず)、シートを細胞の存在しない領域に引き込むような牽引力を基板に対して発揮することが見いだされた。こうした細胞パターン形成が起こる原因はまだわかっていない。しかし、Fredbergらは、細胞シートの移動は広範囲に影響を及ぼし、再生医療用組織足場材料の設計の改善につながると示唆している。
doi: 10.1038/nmat3689
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