注目の論文
血漿ビタミンB12濃度と関連する酵素
Nature Genetics
2008年9月8日
Enzyme associated with vitamin B12 levels
血漿ビタミンB12濃度の個人差に寄与する遺伝子多型が初めて同定された。この研究成果は、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
ビタミンB12は、食肉製品や乳製品に含まれており、赤血球の形成に必要である。ビタミンB12の欠乏は、食事による直接的な摂取の不足、腸の吸収不良のいずれが原因である場合も、貧血、心血管疾患、癌、神経変性疾患に関連している。ハーバード大学公衆衛生大学院(米国マサチューセッツ州ボストン)のD Hunterらは、血漿ビタミンB12濃度に影響する可能性のある一般的な遺伝子多型を求めて、全ゲノム関連解析を行った。その結果、FUT2遺伝子の3個の一塩基多型(SNP)がビタミンB12濃度と高い相関を示した。
FUT2遺伝子には、特定のタイプの糖を結合させ、特に個人の血液型を構成する因子の分泌を調節する酵素がコードされている。ビタミンB12と関連するSNPのうちの1つは、FUT2遺伝子の機能を停止させ、また、血液型因子の分泌を阻害することから、これまで「非分泌型」多型と呼ばれていた。「分泌型」のFUT2遺伝子は、胃炎を引き起こすことのあるピロリ菌(Helicobacter pylori)の感染との関連性が明らかになっている。Hunterらは、FUT2遺伝子の塩基配列の違いが、ピロリ菌を介して、ビタミンB12濃度に影響している可能性があるという見方を示している。ピロリ菌については、ビタミンB12の吸収不良と関連していることが他の研究者によって明らかにされていた。
doi: 10.1038/ng.210
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