注目の論文
がんの幹細胞を狙い撃ち
Nature Medicine
2013年12月2日
Targeting the stem of cancer
マウスの結腸直腸がん幹細胞に対する薬剤治療戦略の報告が寄せられている。がん幹細胞は、腫瘍の治療抵抗性と再発の原因の1つと考えられており、この戦略がさらに効果的ながんの治療法の開発につながる可能性がある。
がんはさまざまな細胞集団で構成されていて、その中には、自己再生能を持ち、もっと分化した腫瘍細胞を生み出せる厄介な幹細胞集団も少数だが含まれる。がんを完全に根絶するには、がん幹細胞集団の除去が必要だと考えられているが、これらの幹細胞には多くのがん治療に抵抗性を示す原因となる独特な性質があり、うまく標的にするのは難しいことが分かっていた。
John Dickたちは、多くの遺伝子の発現に影響するマウスタンパク質BMI-1が、幹細胞の自己再生や腫瘍形成に不可欠な因子であることを、ヒトの結腸直腸がん細胞系列や結腸直腸がん患者由来の細胞試料で突き止めた。Dickたちは、BMI-1レベルを低下させる化合物を開発した。この化合物は、がん幹細胞の機能を阻害し、マウスにおける一次ヒト結腸直腸がんの成長を妨げた。これらの結果が示すように、BMI-1の阻害という戦略を使えば、がんの治療を改善し、抗腫瘍効果を持続させられる可能性がある。
doi: 10.1038/nm.3418
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