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免疫応答の選択的阻害

Nature Immunology

2010年11月1日

Selective inhibition of immune responses

Zap70は、免疫系のT細胞による抗原認識の際に活性化シグナルを伝える重要な分子だが、この分子の機能の一部を特異的に阻害する因子から、免疫細胞の情報伝達と調節に関して、新たな洞察が得られた。この研究により、免疫細胞への介入の新しい標的、すなわちT細胞を介した自己免疫や臓器移植などのような、免疫寛容が求められる状況下で役に立つ標的が示された。

Zap70は、ある経路を活性化することが知られている。この経路は、エフェクターT細胞の増殖と機能の引き金となる。Zap70の働きが失われるとT細胞の発生に異常を来すが、Zap70が成熟T細胞でどのように働いているのかはわかっていない。

A Weissたちは、修飾したZap70を標的とする小型の阻害分子を作製し、自己免疫応答を防ぎ、エフェクターT細胞を抑制する働きをする調節性T細胞で、Zap70が予想外の新しい機能を担っていることを明らかにした。新しい阻害分子は修飾Zap70のキナーゼ活性を阻害して、感染との闘いに重要なエフェクターT細胞の働きを妨げるが、調節性T細胞のもつ抑制作用は影響されない。これらの知見は、Zap70が調節性T細胞においてキナーゼ活性とは無関係な役割を果たしていることを示している。

doi: 10.1038/ni.1955

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