注目の論文

分解されたら薬を放出

Nature Materials

2014年3月31日

Degrade and deliver

心臓発作時に有害なプロテイナーゼの活性を阻害する分子を局所的に送達できる生体応答性材料が、今週のオンライン版に報告されている。高活性レベルのプロテイナーゼが心臓の一部への損傷を増加させうる心筋梗塞の前臨床動物モデルにおいて、この方法でプロテイナーゼ活性が阻害され、治療効果が現れた。

多くの病気は、高いマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性によって特徴づけられる。このため、MMP阻害が1つの治療手段となる。しかし、MMP阻害剤の全身投与後、用量制限性の副作用が生じる。今回Jason Burdickは、高レベルのMMP活性に応答してMMP阻害剤を放出し、望ましい場所でMMP活性を抑制できる多糖類系ヒドロゲルについて報告している。つまり、阻害剤を含有するヒドロゲルを直接組織に注射すると、MMPの存在下でヒドロゲル内の架橋結合が分解されて、阻害剤がヒドロゲルから放出される仕組みである。ブタを用いた生体内研究では、阻害剤含有ヒドロゲルによって、心筋梗塞後の心室内で観察される有害作用が減少している。こうしたMMP 阻害剤の局所的送達は、標的以外の場所への影響を軽減するため、MMP阻害剤療法の臨床応用の推進に役立つ可能性がある。

doi: 10.1038/nmat3922

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度