注目の論文
白質でジャグリング
Nature Neuroscience
2009年10月12日
Juggling with white matter
視覚による認識と肉体による運動を同時に行うような複雑な作業、例えばジャグリングなどを習得すると、脳内の白質が変化するという研究結果がNature Neuroscience(電子版)に発表される。
脳内の灰白質の大部分は、神経細胞体によって構成されている。一方、白質は、これらの相互連結している神経細胞胞体が送り出す突起によって構成されている。以前の研究では、複雑な作業の習得による脳内の灰白質における変化が発表されていたが、今回の研究結果によって、白質の連結においてもそれらに匹敵する変化が初めて明らかにされた。
この、新たな技術の習得が実際に白質内の変化を引き起こすという考えを実証するために、J Scholzらは、6週間のジャグリング練習を行った被験者のその前後の脳の状態を調査し、頭頂葉における変化を発見した。この領域は、視覚機能と運動機能を結びつけることが以前から知られている。
さらにScholzらは、ジャグリング練習によって白質の変化と同様に灰白質にも変化がみられ、その一部は同一領域にあることも発見した。これは、ジャグリング練習が神経細胞体とその突起の、両方の構造に影響を与えることを示唆している。さらに、最後のジャグリング練習から4週間後の被験者を再度調査したところ、これらの変化は依然として保たれており、変化が極めて持続的であることを示した。しかし、灰白質の変化の規模と白質の変化の規模との間に相関関係がなかったため、Scholzらは、これらの変化は比較的独立な過程なのかもしれないと提案するに至っている。
doi: 10.1038/nn.2412
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