注目の論文
鳥の群れと量子現象の類似性
Nature Physics
2014年7月28日
Birds of a feather
ムクドリの群れの飛行コースの変化は、線形分散モデルを用いて記述できる。このモデルでは、先頭の鳥が飛行方向を変えたという情報は、鳥同士の情報伝達によって群れの鳥に伝播する。こうした結果が、今週報告され、鳥の群れの集団運動とバルク系の量子現象の根底にある数学的類似性が明らかになった。
日没頃に、数百羽から数万羽、時には数百万羽のムクドリが密集した編隊を組んで飛行する。こうしたムクドリの飛行が、衝突したり編隊を崩したりせずに整然と行われる仕組みは、議論の的になっている。現在支持されているモデルの1つでは、鳥の飛行は集団運動であり、特定のリーダーはおらず、情報は鳥の間を拡散的に運ばれるとされている。
A Jelicたちは、3台のカメラを用いて400羽の野生のムクドリの群れを撮影し、それぞれの鳥の個々の軌道を三次元で追跡できるようにした。その結果得られた知見は、この集団運動モデルとは食い違っている。つまり、数羽の「最上位の鳥」がはじめに飛行方向を変え、その数羽の鳥は編隊内の互いに近いところにいることがわかったのである。その後、飛行方向の情報は、約0.5秒以内に群れの全ての鳥に伝わる。従って、こうした迅速な情報伝達は拡散的ではなく、むしろ量子物質の相転移や対称性を破る特性を説明する言語を用いて、この集団挙動を記述できる。
doi: 10.1038/nphys3035
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