注目の論文
パワーアップしたT細胞
Nature Medicine
2008年11月10日
Souped-up T cells
キラーT細胞の遺伝子操作により、培養細胞中でのHIVの広がりを抑える力の強いT細胞が作られたとの報告が寄せられている。それによれば抑制力を増強したこの細胞は、変異してこの細胞による応答から逃れようとする細胞も認識できるという。
T細胞に対してHIVの存在を警告するのはT細胞受容体(TCR)で、ウイルス感染細胞の表面に警告標識として提示されるウイルスタンパク質断片を認識する。HIVを認識する特異的T細胞を単離するために、現在はHIV患者からの細胞のクローン化という方法が主だが、時間と労力のかかる作業であり、しかもこのような細胞がもつTCRはウイルス感染細胞を認識する力が弱いことが多い。また、ウイルスが変異して検出されなくなることもある。
J Rileyたちは「ファージ提示」技術を用いて、HIV断片を特にうまく検出するT細胞のTCRをHIV患者から単離した。次に、このTCRを操作してウイルス検出能力をはるかに高めて、これをT細胞へと組み込み、培養細胞中でのHIVの広がりをより効果的に抑制するキラー細胞を作った。このT細胞が動物や患者でもウイルス感染を抑制し、実用可能な治療法へと結びつくかどうかは、まだわからない。
doi: 10.1038/nm.1779
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