注目の論文
肺動脈のNotch
Nature Medicine
2009年10月26日
A Notch in lung arteries
広くみられる情報伝達分子Notchが、肺動脈性肺高血圧症に関与しているとの報告が寄せられている。肺動脈性肺高血圧症は肺に到達する酸素が乏しいときに起こることが多いが、今回の研究によってNotchが重要な役割を担っていることが判明し、治療のための新しい標的経路になることがわかった。
Notchからの情報伝達は、平滑筋細胞(肺動脈の内側を覆っている)を未分化状態に保つとともに、その増殖を制御する。肺動脈性肺高血圧症の特徴は肺の小動脈で平滑筋細胞の増殖が過剰になっていることで、それが肺の血圧上昇につながって、結果として心不全を起こして死に至る。
P Thistlethwaiteたちは、肺高血圧症の患者に、肺小動脈の平滑筋細胞でNOTCH3遺伝子が過剰発現しているという特徴がみられることを明らかにした。またヒトでもマウスでも、高血圧症の重症度と肺のNOTCH3タンパク質量とが相関することもわかった。
Notch3遺伝子をもたないマウスは、酸素が欠乏しても肺高血圧症にならない。また、正常マウスに平滑筋細胞でのNotch3活性化を妨げる阻害物質を投与すると、肺高血圧症が治療できる。さらに、NOTCH3を介した情報伝達が、平滑筋細胞をより未分化で増殖能をもつ状態へと誘導することもわかった。
doi: 10.1038/nm.2021
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