注目の論文
高頻度変異の見られる小児脳腫瘍
Nature Genetics
2015年2月3日
Hyper-mutation in pediatric brain tumors
高頻度変異型小児脳腫瘍の原因となる遺伝的変異が同定された。高頻度変異型小児脳腫瘍における変異の急速な蓄積を利用し、がん細胞が存続し続けられる上限を超えるまで変異を促進する薬物を発見することで、新たな治療薬を開発できる可能性のあることが示された。
重要なDNA修復遺伝子の変異体の2つのコピーを受け継いだ子どもは、小児がんのリスクが高い。このまれな症候群は二対立遺伝子ミスマッチ修復不全(bMMRD)と呼ばれ、患者は、さまざまなタイプのがんにかかりやすくなり、その中で最も多いのが血液がんと脳腫瘍だ。ただし、bMMRDにかかった子どもが必ずがんになるわけではない。
今回、A Shlienたちは、12人のbMMRD患者(そのうちの10人が悪性の脳腫瘍にかかっていた)の脳腫瘍を調べた。それぞれの患者について、脳腫瘍と正常な組織を比較したところ、悪性の脳腫瘍において高頻度な変異が認められ、タンパク質を変化させる変異が平均で約8000個見つかった。これとは対照的に、他の大部分の小児がんに見られる変異は約19個だった。そして、全ての高頻度変異型脳腫瘍で、2個の遺伝子(POLE、POLD)のいずれか1つが変異していた。これらの遺伝子は、bMMRDの原因となっている経路とは別の経路に由来するDNA修復遺伝子だ。以上の結果は、高頻度変異型脳腫瘍が非常に早く進行する理由を説明している。
doi: 10.1038/ng.3202
注目の論文
-
2月21日
動物学:大きな鳥は必ずしも鳥頭というわけではないScientific Reports
-
2月19日
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
2月18日
がん:CAR-T療法を受けた患者に長期寛解Nature Medicine
-
2月13日
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature
-
2月13日
古生物学:初期の尾の短い鳥Nature
-
2月6日
遺伝学:古代のゲノムがヤムナ文化の起源の手がかりとなるNature