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ナノ科学:魔法角ねじれ2層グラフェンにおける電荷秩序と回転対称性の破れ

Nature 573, 7772 doi: 10.1038/s41586-019-1460-4

2層グラフェンは、片方の層をもう片方の層に対して回転させる(ねじる)ことによって調節することができる。そうした層間ねじれによってモアレ超格子が形成され、生じたモアレ超格子は電子運動に影響を及ぼしバンド構造を変化させる。最近、フラットバンドの出現によって電荷キャリアが減速する「魔法角」付近のねじれ角において、モット的な絶縁体や超伝導体などの相関電子相が、電子輸送を用いて発見された。こうした測定結果から、魔法角ねじれ2層グラフェンと高温超伝導体の興味深い類似性が明らかになり、その背後にある物理的メカニズムに関する集中的な研究が促進された。この謎を解く重要な手掛かり、例えばスペクトル関数の対称性や空間分布は、走査型トンネル分光法を通して得ることができる。今回我々は、走査型トンネル顕微鏡法と分光法を用いて、魔法角ねじれ2層グラフェンにおける局所状態密度と電荷分布を可視化した。試料にドープしてフラットバンドを部分的に占有させることによって、モアレ超格子の回転対称性を破る大域的なストライプ型電荷秩序を伴う擬ギャップ相が観測された。バンドが空または全占有の場合、擬ギャップとストライプ型電荷秩序の両方が消失した。高温超伝導体における同様の観測結果との酷似性から、これらの系の現象論の根底に、より深いつながりがあるという新たな証拠が得られる。

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