Volume 610 Number 7931

今週のハイライト

目次

Editorials

食餌と健康を関連付ける研究は、もっと改善が必要である。

Studies linking diet with health must get a whole lot better p.231

doi: 10.1038/d41586-022-03199-1

国連のリーダーたちが、意思決定のための情報提供を科学界に求めていることは歓迎すべきことだ。

A big chance for science at the heart of global policymaking p.232

doi: 10.1038/d41586-022-03200-x

News

この冬は新たな変異株の出現、人々の行動の変化、免疫力の低下により、SARS-CoV-2の感染者が再び急増し、これがインフルエンザと重なる恐れも。

Will there be a COVID winter wave? What scientists say p.239

doi: 10.1038/d41586-022-03157-x

2022年のノーベル物理学賞は、「量子エンタングルメント」を実証したフランスのAlain Aspect氏、米国のJohn Clauser氏、オーストリアのAnton Zeilinger氏に。

‘Spooky’ quantum-entanglement experiments win physics Nobel p.241

doi: 10.1038/d41586-022-03088-7

ノーベル化学賞は、革新的な合成法「クリック・ケミストリー」を開発した米国のBarry Sharpless氏とデンマークのMorten Meldal氏、これを生細胞に適用した米国のCarolyn Bertozzi氏に。

Chemists who invented revolutionary ‘click’ reactions win Nobel p.242

doi: 10.1038/d41586-022-03087-8

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の初期の観測データにはまだ較正途中だったものも含まれており、それを使った科学者たちに混乱が。

‘Bit of panic’: Astronomers forced to rethink early Webb telescope findings p.243

doi: 10.1038/d41586-022-03059-y

イタリア総選挙で極右政党が勝利し、科学予算がさらに削減されたり、温暖化対策に悪影響が出たりする恐れが。

What Italy’s far-right election victory means for science p.245

doi: 10.1038/d41586-022-03127-3

News Features

子どもとSARS-CoV-2ワクチン:データから分かること

COVID jabs for kids: they’re safe and they work — so why is uptake so patchy? p.246

一部の国では生後6か月以上の子どもへのSARS-CoV-2ワクチン接種が始まっているが、安全で有効なこのワクチンの接種が普及しないのはなぜだろう。

doi: 10.1038/d41586-022-03203-8

サル痘の今後

What does the future look like for monkeypox? p.250

米国やヨーロッパではサル痘の症例数が減少しているが、アウトブレイクの今後のシナリオとしてはどのようなもの考えられるだろうか。

doi: 10.1038/d41586-022-03204-7

News & Views

進化学:雄に擬態した雌の鳥は餌をより多く得る

Female birds disguised as males get extra food p.259

あるハチドリでは、雌の20%が雄に特徴的な羽衣を持つ。今回、これが起こる理由を示す証拠から、色の多様性の維持に進化が役立つ仕組みに関する意外な展望が得られた。

doi: 10.1038/d41586-022-03177-7

ロボット工学:屋外での歩行は足の外骨格の調整に役立つ

A walk in the wild helps to tailor robotic leg exoskeletons p.260

今回、装着型ロボットを制御する革新的な方法によって、最適化プロセスが実験室の外で行えるようになった。この方法は、データ駆動型のモデルを用いて、使用者のエネルギー消費を推測し、装着型ロボットの支援を個人ごとに最適化する。

doi: 10.1038/d41586-022-03175-9

エピジェネティクス:SARS-CoV-2は宿主タンパク質を模倣して免疫防御を回避する

SARS-CoV-2 mimics a host protein to bypass defences p.262

今回、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (SARS-CoV-2)が、細胞核内にDNAを収納するヒストンタンパク質の1つを模倣するように進化してきたことが明らかになった。この模倣によって、遺伝子転写が阻害され、抗ウイルス応答が減退する。

doi: 10.1038/d41586-022-02930-2

物理化学:光によって活性化される触媒粒子の秘密が明らかに

Charge transfer observed in light-activated catalyst particles p.263

光によって活性化される触媒粒子における電荷の運動は、再生可能燃料として水素を生成するのに利用できる可能性のある、水分解反応のカギである。今回、そうした運動が極めて詳細に観測された。

doi: 10.1038/d41586-022-03178-6

神経発達:ヒト脳のオルガノイドがラットの行動に影響を及ぼす

Human brain organoids influence rat behaviour p.265

ヒトの脳皮質に似た組織は、in vitroで幹細胞から培養できる。今回、こうした組織を発生中のラットの皮質に移植することで、ヒトのオルガノイドを成熟させ、神経回路に統合し、行動に影響を与えることが可能になった。

doi: 10.1038/d41586-022-02977-1

有機化学:長い糖質の機械組み立て

Machine assembly of carbohydrates with more than 1,000 sugar units p.266

糖質の生物学的機能を調べる取り組みは、構造がよく定まった糖質分子がないため長い間制約されていた。今回、この状況を改善できる可能性がある、糖質の自動合成器が開発された。

doi: 10.1038/d41586-022-02927-x

Articles

天文学:膨張するWR140の塵の殻における輻射に駆動される加速

Radiation-driven acceleration in the expanding WR140 dust shell p.269

doi: 10.1038/s41586-022-05155-5

天文学:中性子星合体GW170817の超光速運動の光学測定

Optical superluminal motion measurement in the neutron-star merger GW170817 p.273

doi: 10.1038/s41586-022-05145-7

ロボット工学:実世界での歩行中に個人ごとに最適化される外骨格支援

Personalizing exoskeleton assistance while walking in the real world p.277

doi: 10.1038/s41586-022-05191-1

ロボット工学:適応的形態形成を通した多環境ロボットの遷移

Multi-environment robotic transitions through adaptive morphogenesis p.283

doi: 10.1038/s41586-022-05188-w

光物理学:ブロッホ電子間の相関のアト秒計時測定

Attosecond clocking of correlations between Bloch electrons p.290

doi: 10.1038/s41586-022-05190-2

物理化学:光触媒粒子における電荷移動の時空間的撮像

Spatiotemporal imaging of charge transfer in photocatalyst particles p.296

doi: 10.1038/s41586-022-05183-1

化学:「エン」レダクターゼを用いる不斉sp3sp3交差求電子剤カップリング

An asymmetric sp3–sp3 cross-electrophile coupling using ‘ene’-reductases p.302

doi: 10.1038/s41586-022-05167-1

惑星科学:火星探査ローバー「祝融」のレーダーが明らかにしたユートピア平原の地下層構造

Layered subsurface in Utopia Basin of Mars revealed by Zhurong rover radar p.308

doi: 10.1038/s41586-022-05147-5

古生物学:スクレロモクルスと翼竜形類の初期進化

Scleromochlus and the early evolution of Pterosauromorpha p.313

doi: 10.1038/s41586-022-05284-x

神経発達:移植されたヒト皮質オルガノイドの成熟と回路への統合

Maturation and circuit integration of transplanted human cortical organoids p.319

doi: 10.1038/s41586-022-05277-w

神経科学:出生前の免疫活性化は、ミクログリアストレス反応性を長期的に鈍化させて、神経回路を障害する

Prenatal immune stress blunts microglia reactivity, impairing neurocircuitry p.327

doi: 10.1038/s41586-022-05274-z

植物科学:微生物のグリコシドヒドロラーゼによる植物の受容体様タンパク質の活性化

Plant receptor-like protein activation by a microbial glycoside hydrolase p.335

doi: 10.1038/s41586-022-05214-x

乳がん:転移性乳がん患者に対する治療法を選択するためのゲノミクス

Genomics to select treatment for patients with metastatic breast cancer p.343

doi: 10.1038/s41586-022-05068-3

生物学的手法:ショウジョウバエ細胞におけるCRISPRスクリーニングからVsgがTc毒素受容体であることが特定される

CRISPR screens in Drosophila cells identify Vsg as a Tc toxin receptor p.349

doi: 10.1038/s41586-022-05250-7

がん:肝星細胞の亜集団は肝臓がん発生において相反する役割を持つ

Opposing roles of hepatic stellate cell subpopulations in hepatocarcinogenesis p.356

doi: 10.1038/s41586-022-05289-6

がん:コラーゲン切断に依存するDDR1シグナル伝達は膵臓がんの転帰に影響する

Collagenolysis-dependent DDR1 signalling dictates pancreatic cancer outcome p.366

doi: 10.1038/s41586-022-05169-z

腫瘍免疫学:STINGによって誘導される制御性B細胞はがん免疫におけるNK機能を低減させる

STING-induced regulatory B cells compromise NK function in cancer immunity p.373

doi: 10.1038/s41586-022-05254-3

エピジェネティクス:SARS-CoV-2はヒストンを模倣して宿主のエピジェネティック調節を阻害する

SARS-CoV-2 disrupts host epigenetic regulation via histone mimicry p.381

doi: 10.1038/s41586-022-05282-z

生化学:NMRを手掛かりにする指向性進化法

NMR-guided directed evolution p.389

doi: 10.1038/s41586-022-05278-9

構造生物学:エボラウイルスポリメラーゼ複合体の構造

Structure of the Ebola virus polymerase complex p.394

doi: 10.1038/s41586-022-05271-2

構造生物学:方向性の決まったキチン生合成の構造基盤

Structural basis for directional chitin biosynthesis p.402

doi: 10.1038/s41586-022-05244-5

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