Volume 612 Number 7938

今週のハイライト

目次

Editorials

資金配分機関や政策立案者は、基礎研究の成果が直接何に役立つかに注目しがちだが、基礎研究そのものに大きな価値があることを忘れてはならない。

In praise of research in fundamental biology p.7

doi: 10.1038/d41586-022-04172-8

英国では企業の研究開発費が前年比で60%増加したが、これは国家統計局(ONS)が算出方法を変えたためであり、実態を正確に捉えているかは疑問である。

UK business R&D spending has just jumped by 60% — or has it? p.8

doi: 10.1038/d41586-022-04173-7

News

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による画期的な観測によって、系外惑星の詳細な化学的性質が初めて明らかに。

JWST reveals first evidence of an exoplanet’s surprising chemistry p.15

doi: 10.1038/d41586-022-03820-3

COP27で得られた成果と不調に終わったこと、そして、今後の課題とは。

COP27 climate talks: what succeeded, what failed and what’s next p.16

doi: 10.1038/d41586-022-03807-0

国際度量衡総会において、2035年からうるう秒を廃止することが決定。

The leap second’s time is up: world votes to stop pausing clocks p.18

doi: 10.1038/d41586-022-03783-5

カタールで開催でサッカーワールドカップが開催されているが、地球温暖化の中で選手たちの競技能力をいかに維持するかの研究が盛んに。

How will World Cup footballers cope with Qatar heat? p.19

doi: 10.1038/d41586-022-03771-9

米国では、性感染症予防目的での抗生物質の使用が推奨されるようになったが、これは耐性菌を増加させると懸念の声が。

Push to use antibiotics to prevent sexually transmitted infections raises concerns p.20

doi: 10.1038/d41586-022-03801-6

ファージがさまざまなCRISPR–Cas系を持っていることが分かり、遺伝子編集への応用に期待が。

CRISPR tools found in thousands of viruses could boost gene editing p.21

doi: 10.1038/d41586-022-03837-8

News Features

サル痘の流行を警告していた2人の科学者

These monkeypox researchers warned that the disease would go global p.22

長年サル痘を追い続けてきたナイジェリアのAdesola Yinka-Ogunleyeと米国のAnne Rimoinたちの洞察は、現在の流行拡大を食い止め、将来のアウトブレイクを防ぐのに役立つだろうか。

doi: 10.1038/d41586-022-04155-9

News & Views

古生物学:祖先的鳥類のくちばしが可動式だったことを示唆する化石

Fossil find suggests ancestral bird beak was mobile p.35

今回、ヨーロッパで発見された6700万年前の鳥の化石から、祖先的鳥類のくちばしの性質に関する数世紀にわたる考えを見直すべきであることを示唆する証拠が得られた。

doi: 10.1038/d41586-022-03692-7

気候科学:熱帯の季節性の急激な変化と関連付けられた急速な温暖化

Rapid warming linked to leap in tropical ocean seasonality p.36

1万1700年前の急激な温暖化事象時に、熱帯の海面水温の季節変動が倍増していたことが、今回明らかになった。これは、過去の気候事象を推測し、今後の気候事象を予想する際には、季節的変化を考慮しなければならないことを示している。

doi: 10.1038/d41586-022-03833-y

細胞生物学:UNCoordinatedタンパク質が細胞遊走を連係させる

Uncoordinated protein coordinates cell migration p.38

発生中のニューロンと転移性のがん細胞がよく似た機構で移動することを示す証拠がますます増えている。今回、細胞遊走に関与することがこれまで知られていなかった複合体の特性が評価され、この考えが裏付けられた。

doi: 10.1038/d41586-022-03732-2

構造生物学:葉酸輸送体によって得られる抗がん剤の手掛かり

Folate transporter offers clues for anticancer drugs p.39

今回、以前から調べられてきた葉酸輸送タンパク質に関する構造的知見によって、全く新しい標的抗がん治療につながり、腫瘍に立ち向かう免疫手法の治療効果を高める可能性があることを示す証拠が得られた。

doi: 10.1038/d41586-022-03767-5

量子物理学:量子コンピューターにおけるホログラフィックワームホール

A holographic wormhole traversed in a quantum computer p.41

今回、9つのキュービットからなる系を用いて、量子力学と一般相対性理論を調和させる試みの主役となる概念である、ホログラフィックワームホールと呼ばれる状態がシミュレートされた。

doi: 10.1038/d41586-022-03832-z

Perspective

工学:合成知能のためのデンドロセントリックラーニング

Dendrocentric learning for synthetic intelligence p.43

doi: 10.1038/s41586-022-05340-6

Articles

量子物理学:量子プロセッサーにおける通過可能なワームホールのダイナミクス

Traversable wormhole dynamics on a quantum processor p.51

doi: 10.1038/s41586-022-05424-3

光物理学:フォトニック集積連続進行波パラメトリック増幅器

A photonic integrated continuous-travelling-wave parametric amplifier p.56

doi: 10.1038/s41586-022-05329-1

光物理学:収差補正3D写真撮影向けの集積イメージセンサー

An integrated imaging sensor for aberration-corrected 3D photography p.62

doi: 10.1038/s41586-022-05306-8

化学:混合フラックスを用いたカルコゲニドの構造と組成の発見

Discovery of chalcogenides structures and compositions using mixed fluxes p.72

doi: 10.1038/s41586-022-05307-7

ナノスケールデバイス:分子鎖の「記録テープ」を読み取る分子ラチェット

A tape-reading molecular ratchet p.78

doi: 10.1038/s41586-022-05305-9

環境社会科学:太陽光発電のグローバルサプライチェーンによるコスト削減の定量化

Quantifying the cost savings of global solar photovoltaic supply chains p.83

doi: 10.1038/s41586-022-05316-6

気候科学:退氷時における熱帯の海水温の季節変動の増大

Deglacial increase of seasonal temperature variability in the tropical ocean p.88

doi: 10.1038/s41586-022-05350-4

気候科学:暖水プールの海洋貯熱量が海洋と大陸の間の水分輸送を調節する

Warm pool ocean heat content regulates ocean–continent moisture transport p.92

doi: 10.1038/s41586-022-05302-y

古生物学:クラウン群鳥類祖先が新顎類的であったことを裏付ける白亜紀のオルニトゥラエ類

Cretaceous ornithurine supports a neognathous crown bird ancestor p.100

doi: 10.1038/s41586-022-05445-y

がん:がんにおける、変異過程によって誘導される単一細胞のゲノム変動

Single-cell genomic variation induced by mutational processes in cancer p.106

doi: 10.1038/s41586-022-05249-0

神経科学:網膜を動かす筋肉がショウジョウバエの複眼視を増強する

Muscles that move the retina augment compound eye vision in Drosophila p.116

doi: 10.1038/s41586-022-05317-5

神経疾患:アルツハイマー病においてmedinは血管性アミロイドβと共凝集する

Medin co-aggregates with vascular amyloid-β in Alzheimer’s disease p.123

doi: 10.1038/s41586-022-05440-3

微生物学:ウイルスのキャプシドタンパク質による細菌の自然免疫系の直接活性化

Direct activation of a bacterial innate immune system by a viral capsid protein p.132

doi: 10.1038/s41586-022-05444-z

がん:肝臓の腫瘍免疫微小環境サブタイプと好中球の不均一性

Liver tumour immune microenvironment subtypes and neutrophil heterogeneity p.141

doi: 10.1038/s41586-022-05400-x

細胞生物学:MYC多量体は停止した複製フォークをRNAポリメラーゼから遮蔽する

MYC multimers shield stalled replication forks from RNA polymerase p.148

doi: 10.1038/s41586-022-05469-4

免疫学:B細胞抗原受容体組み立ての構造原理

Structural principles of B cell antigen receptor assembly p.156

doi: 10.1038/s41586-022-05412-7

生化学:タンキラーゼの重合による活性化の構造基盤

Structural basis of tankyrase activation by polymerization p.162

doi: 10.1038/s41586-022-05449-8

構造生物学:ヒトSLC19A1による環状ジヌクレオチドと葉酸の認識

Recognition of cyclic dinucleotides and folates by human SLC19A1 p.170

doi: 10.1038/s41586-022-05452-z

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