Nature ハイライト
Cover Story:ホログラフィックワームホール:量子コンピューターを用いた量子重力の研究へ一歩前進
Nature 612, 7938
一般相対性理論と量子力学が基本的に両立し難いために生まれる難題の1つに、量子重力理論に関する意見の不一致がある。これを克服できる可能性のある方法の1つが、重力を含む系はより低次元の量子系によって記述できると主張するホログラフィック原理を通した方法である。今回M Spiropuluたちは、キュービットを9つ用いた量子コンピューターで対応する量子ダイナミクスを実験的に実現することによって、通過可能なホログラフィックワームホールのダイナミクスを再現している。これは、量子重力理論を実験室で研究するための初めの一歩である。著者たちは、同じ量子チップにおいて2つのエンタングルした量子系を生成し、そのうちの1つにキュービットを挿入して、もう1つの系から現れた情報を観測した。この情報は、通過可能なワームホールに予想される重力の性質を示していたのである。
2022年12月1日号の Nature ハイライト
光物理学:シリコンウエハーに集積されたパラメトリック増幅器
光物理学:収差補正3D写真撮影用のイメージセンサー
化学:溶融塩フラックスを用いた材料発見戦略
ナノスケールデバイス:分子鎖の「記録テープ」を読み取りながら一方向に移動する化学構造
環境社会科学:サプライチェーンのグローバル化による太陽光発電のコスト削減
気候科学:退氷時における熱帯海洋温度の季節変動
気候科学:アジアモンスーンを制御する暖水プールの海洋貯熱量
古生物学:クラウン群鳥類の祖先は新顎類に近かった
がん:細胞間の構造変動ががんの多様性をもたらす
神経科学:ハエの眼の動きに注目
神経疾患:ありふれたアミロイドがアルツハイマー病を促進
微生物学:細菌の防御系を直接活性化するファージキャプシドタンパク質
がん:腫瘍関連好中球が予後に関与
細胞生物学:MYCの多量体化が腫瘍増殖を促進する
免疫学:マウスIgM BCR複合体の構造と組み立て原理
生化学:重合によるタンキラーゼ活性化の仕組みを構造から解明
構造生物学:SLC19A1による葉酸とサイクリックジヌクレオチドの膜輸送