Nature ハイライト

腫瘍免疫学:免疫調節機能を持つ樹状細胞がチェックポイント阻害への応答を妨げる

Nature 580, 7802

肺がんにおけるチェックポイント阻害は大きな成功を収めているが、いまだに免疫療法が効かない患者も多い。以前の研究で、前臨床モデルにおいて一部の樹状細胞(DC1)がチェックポイント阻害に対する腫瘍応答を制御することが示されており、これはCD8+ T細胞応答のプライミングを行うというDC1細胞の特殊化された能力を表している。しかし、チェックポイント阻害に抵抗性の腫瘍にもDC1が存在することから、M Meradたちは、腫瘍病巣に存在するDC1の機能を減弱させて、肺がんの免疫療法に対する抵抗性に寄与する可能性のあるドラッガブルな経路を探索しようと考えた。今回の研究で彼らは、ヒトおよびマウスの両方で、腫瘍細胞の取り込み能や抑制性分子の発現が高いことを特徴とする、腫瘍内DCの新しいサブセットを明らかにし、このサブセットがCD8+ T細胞機能を抑制することを示している。さらに著者たちは、このDCサブセットの機能を阻害すると、腫瘍に浸潤するCD8+エフェクターT細胞が増殖し、もともとはPD-L1阻害に抵抗性の前臨床非小細胞肺がんの病巣が大幅に縮小することも示している。

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