Nature ハイライト
神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造
Nature 580, 7802
W Zhangたちは今回、大脳皮質基底核変性症(CBD;運動障害と認知機能障害を生じる疾患)の患者で見られるタウ繊維のクライオ電子顕微鏡構造を明らかにしている。微小管結合タンパク質であるタウの沈着は一般に、特定の神経変性疾患と関連付けられており、CBDは4つの微小管結合リピートを含むアイソフォーム(4R)からなるタウ封入体を特徴とする。この研究グループは以前に、ピック病(タウ繊維は3Rアイソフォームからなる)、アルツハイマー病や慢性外傷性脳症(CTE)(繊維は3Rと4Rタウアイソフォームの両方を含む)の患者から得られたタウ封入体の構造を解析している。タウ繊維の構造はCBDの患者間では同じだが、アルツハイマー病やピック病、CTEに由来するタウ繊維とは異なっていた。また、CBD繊維は新規な4層の折りたたみ構造をとっていて、非タンパク質性の高密度部分を取り囲んでいることが分かった。これらの知見は、繊維状タウを形成する配座異性体の違いによって、異なるタウオパチーが生じるという仮説の説得力を増すものである。このような多様な配座異性体の形成を促す原因を明らかにすることは、診断や治療における新たな機会につながるかもしれない。
2020年4月9日号の Nature ハイライト
材料科学:シリコン合金からの効率の良い発光
材料科学:配向したナノ複合材料膜の連続的作製
化学:創薬のツールボックスの拡張
炭素循環:成熟林では二酸化炭素増加の下で炭素隔離の増大は見られない
がんゲノミクス:リキッドバイオプシーを用いた肺がんのスクリーニング
医学研究:心機能の心拍ごとの評価
腫瘍免疫学:免疫調節機能を持つ樹状細胞がチェックポイント阻害への応答を妨げる
代謝:塩素イオンチャネルHodorはショウジョウバエにおける亜鉛の感知、成長シグナル伝達、食欲に関わる腸の回路を駆動する
腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー
神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造