Nature ハイライト
発生生物学:ヒトブラストイドにより不妊研究に明るい見通し
Nature 601, 7894
初期の妊娠喪失は多くの場合、胚が母親の子宮に着床できないことが原因である。ヒト胚が子宮壁に接着して、着床・発生する仕組みについての我々の理解は限られており、これは特に、ヒト胚の研究を取り巻く技術的・倫理的制限のためである。最近、ヒト初期胚のin vitroモデルであるヒトブラストイドの作製が報告されたが、これが不妊研究のロバストなモデルとなるには、さらに多くの研究が必要である。N Rivronたちは今回、再現性のある高い効率(70%以上)でヒトブラストイドを作製するプロトコルを報告している。これらのブラストイドは、in vitroでの子宮細胞への接着や、胚発生の最長13日までの着床前後の発生など、ヒトの初期発生を再現することが示された。この効率の高さと再現性を考えると、今回のプロトコルは着床の失敗や救済のハイスループット研究の道を開くだろう。
2022年1月27日号の Nature ハイライト
エネルギー科学:電池の力で高く飛ぶ
量子物理学:量子コンピューターにおける時間結晶
量子物理学:極低温原子も優れた量子ビットになる可能性
光物理学:誤差逆伝播法で物理系を訓練する
流体力学:高温固体の冷却
進化学:エチオピアの初期のホモ・サピエンスのより正確な年代
考古学:新石器時代のブリテン島における家族構成
古代DNA:ブリテン島を巡る青銅器時代の人の流れ
神経科学:嗅覚で駆動される空間地図
発生生物学:ヒトブラストイドにより不妊研究に明るい見通し
がん:アンサンブルオミクスでがん治療応答を予測する
遺伝子調節:ショウジョウバエ脳の単一細胞マルチオミクスのアトラス
分子生物学:加齢はタンパク質恒常性を損なう
構造生物学:DNA-PKcsの高分解能クライオ電子顕微鏡構造から明らかになった阻害剤の作用様式
構造生物学:光合成光化学系の電子伝達を担う超複合体の構造