Nature ハイライト
Cover Story:スピードを求めた仕組み:羽毛状の翅の独特な運動が小さな甲虫を高速飛行させる
Nature 602, 7895
表紙には、Paratuposa placentisという極めて小さな甲虫の羽毛に似た翅が示されている。動物がどのくらい速く飛行できるかは、一般的にそのサイズによって決定付けられており、大きな動物ほど速く飛行できる。しかし、体長がたった395 μmのP. placentisは、サイズが3倍の昆虫と同じくらいの速さで飛び、この傾向に反している。今回A Polilovたちは、P. placentisがどのようにしてそうした芸当を可能にしているのか明らかにしている。著者たちは、この甲虫の翅の構造と動きを三次元で再構成し、軽い羽毛状の翅が非常に大きな8の字型のループを描いて動き、翅のストローク全体の振幅が大きくなっていることを見いだした。そして、この適応は、極めて小さな昆虫が進化に成功したことの説明に役立つ可能性があると示唆している。
2022年2月3日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:モアレ物質におけるねじれの再現性
遺伝学:オープンサイエンスによるイヌの老化研究
素粒子物理学:大幅に引き上げられた磁気単極子の質量の下限
物性物理学:人工的にゲージ場を創り出す
化学工学:選択的硫化に基づく金属の分離
ナノスケール材料:ナノスケールの水流における量子摩擦
遺伝学:制約のあるゲノム領域の外に偏る変異
遺伝学:宿主の防御効果はマラリア原虫の遺伝型によって変わる
神経科学:発話計画の脳内回路
神経科学:グリッド細胞の集団活動を可視化する
発生生物学:心臓中胚葉分化のエピジェネティック制御
微生物学:耐性菌の出現は抗生物質の臨床使用よりも古い
ウイルス学:ペタ塩基規模のデータベースに潜んでいた多数の新規RNA
コロナウイルス:SARS-CoV-2特異的な長期生存記憶T細胞
免疫学:幹細胞様の自己免疫性前駆細胞は1型糖尿病を誘発する
がん:血液がんの進化のタイミング