Nature ハイライト

Cover Story:スピードを求めた仕組み:羽毛状の翅の独特な運動が小さな甲虫を高速飛行させる

Nature 602, 7895

羽毛状の翅を持つ超小型甲虫<i>Paratuposa placentis</i>。サイズの比較として、単細胞原生生物のアメーバを右側に示す。
羽毛状の翅を持つ超小型甲虫Paratuposa placentis。サイズの比較として、単細胞原生生物のアメーバを右側に示す。 | 拡大する

Credit: Modified from Farisenkov et al. Nature (2022)

表紙には、Paratuposa placentisという極めて小さな甲虫の羽毛に似た翅が示されている。動物がどのくらい速く飛行できるかは、一般的にそのサイズによって決定付けられており、大きな動物ほど速く飛行できる。しかし、体長がたった395 μmのP. placentisは、サイズが3倍の昆虫と同じくらいの速さで飛び、この傾向に反している。今回A Polilovたちは、P. placentisがどのようにしてそうした芸当を可能にしているのか明らかにしている。著者たちは、この甲虫の翅の構造と動きを三次元で再構成し、軽い羽毛状の翅が非常に大きな8の字型のループを描いて動き、翅のストローク全体の振幅が大きくなっていることを見いだした。そして、この適応は、極めて小さな昆虫が進化に成功したことの説明に役立つ可能性があると示唆している。

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