Nature ハイライト
Cover Story:大冷却:分子気体のためのマイクロ波冷凍庫
Nature 607, 7920
表紙は、非常に冷たい分子に囲まれ凍結したマイクロ波アンテナを表現したものである。量子効果を調べる潜在能力は、原子気体より極性分子気体の方が高いが、それにはまず十分な冷却が必要であり、そうした冷却は困難である。今回A Schindewolfたちは、極性分子気体が縮退し量子効果が支配的になる温度まで、極性分子を冷却する方法を提示している。彼らは、これを行うために、実験に合わせて調節したマイクロ波場を用いて、損失を生じさせる分子間の反応が起こるのを防ぐ斥力障壁を導入した。その結果、分子は弾性衝突を通して21 nKまで容易に冷却され、相互作用する分子の3D双極子量子気体が生成された。
2022年7月28日号の Nature ハイライト
量子物理学:量子計算の優位性を概観する
量子情報:測定装置無依存量子鍵配送まであと一歩
電子デバイス:例外点に基づくセンサーの信号対雑音比の向上
材料科学:ゼオライトに閉じ込められた単一分子の観察
材料科学:界面変換における転位媒介ダイナミクスの解明
気候科学:グリーンランド氷河の底面弱化
古生物学:内耳の構造が示す哺乳類の内温性の起源
遺伝学:英国バイオバンク約15万人の全ゲノムデータ
神経科学:海馬に描かれたベクトル地図
神経回路:食の好みは内的な状態で変わる
免疫学:食物に対する免疫寛容を担うCD4陽性T細胞
免疫学:ADAR1変異による自己炎症性病態はZBP1に依存する
免疫学:ADAR1はZBP1の阻害を介して炎症を抑制する
細胞生物学:メカノトランスダクションは自然免疫シグナルを介して加齢を抑制する
がんゲノミクス:スーパーエンハンサーの高頻度変異によるがん遺伝子発現の変化
生化学:ポーキュパインの構造からWntのアシル化機構が判明
生化学:高いCO2還元活性の秘密はフィラメント形成